2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】NECソリューションイノベータ 石井力社長
未病促進、ヘルスケア強化
基幹システム再構築も推進
国内IT市場はデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、堅調に成長している。特にDXを進める企業の買い換え需要や官公庁のシステム標準化の動きが活発で、2025年ごろまで続きそうだ。コンサルティング起点の事業提案やクラウドファーストシフトを強化し、顧客のニーズに対応している。
公共分野では、スマートシティーの一環として、大きな社会課題である医療費削減に向けて「ヘルスケア」を注力領域として絞り込んだ。
柱となるのが健康経営を支援するソリューションだ。子会社のフォーネスライフを通じて、血中のタンパク質から将来起こりうる疾病を予測するサービス「フォーネスビジュアス」を展開しており、病気を未然に防ぎ、行動変容につなげる取り組みを強化している。
既に熊本県荒尾市が導入し、今年中には約10自治体に広がる見込みだ。アプリの活用からカウンセリングまで含めて未病の社会づくりを支援することで医療費を抑え、都市経営の最適化に貢献したい。
会計や人事給与、販売管理といった企業の基幹系システムを再構築するエンタープライズアプリケーションも強力に推進している。
顧客情報などさまざまなデータを分析して上流から業務コンサルティングを行い、基幹システムやデータ統合基盤を構築する取り組みを、NECグループ会社のアビームコンサルティングと連携しながら実施している。
他業種展開する大企業はそれぞれ異なる課題を抱えており、基幹システムの再構築は大きなビジネスになる。大手14社を選定して大型プロジェクトを展開する予定だ。
事業展開の要となる人材の確保に向けては、25年卒の新卒採用から、首都圏を含め初任配属エリアを確約した新たな採用方式を取り入れを始める。選考時点で全国11の事業拠点から一つを選択し、試験を受けられるようにして地方の優秀な学生を集めたい。
人材が集う魅力ある企業になるためのウェルビーイング経営の一環として、オフィス改革も進めている。本社ビルを改装し、「ラーニングパティオ」と呼ぶ新たな学びの場を整える。今年冬から2段階でリニューアルする予定で、共創と教育の場として社員の成長と働きがいの向上につなげたい。
パートナー企業との関係強化に向けた新たな取り組みにも着手する。DX人材強化や経営基盤改革、ビジネスマッチングなどサポートプログラムを用意して、つながりを深めていきたい。