2023.09.21 IBMが独自AI基盤モデル日本語版 ビジネスでの活用加速へ年内に先行リリース

watsonx.aiのデモ

watsonxの最新動向を説明する村田常務watsonxの最新動向を説明する村田常務

 IBMは同社独自のAI(人工知能)基盤モデルの日本語版を年内に先行リリースし、2024年第1四半期(1~3月)に製品提供する。日本IBMが20日、5月にIBMが発表したAI活用を拡大・加速する「IBM watsonx」の最新動向の説明会で明らかにした。watsonxを「ビジネスのためのAI活用を加速するAI」と位置付け、「より用途を厳格にし、品質、投資効果を重視していく」(村田将輝常務執行役員テクノロジー事業本部長兼AIビジネス責任者)。

 IBMは5月の年次イベント「Think」で、企業が信頼できるデータを用いて最先端のAI活用の拡大・加速を可能にする、新しいAIとデータ・プラットフォームIBM watsonxを発表した。

 AIには、生成AIや機械学習機能を含むAIモデルを、信頼できるデータ、スピード、ガバナンスを用いて迅速に組織全体で学習・調整(チューニング)・展開することができる、包括的な技術が求められている。しかも、オンプレミス、クラウド環境などあらゆる環境での活用も不可欠な要素となっている。

 watsonxは、インターネット上の膨大なデータを収集・分析し、付加価値を付けるキュレーションで学習した基盤モデルとオープンソース・モデルにアクセスできるAI開発ツール群をはじめ、データを収集しクレンジングするためのデータ・ストアへのアクセス、企業自身のAI活用に向けたAIガバナンスのためのツールキット、AIの適用と拡張を容易にするシームレスなエンドツーエンドのAIワークフローを提供する。

 村田常務は、IBMのAIに対する考え方について、①マルチ基盤モデル、オープンなクラウド技術によるオープン性②信頼できる学習データによるAIライフサイクルの見える化を実現する信頼性③特定用途向けに追加学習し、ビジネス課題の解決に集中④あらゆるシステム環境で動き、顧客のAIモデルを創造する―の4点を提示。

 「AIは、対話型のオープンAIとより厳格な用途を対象としたものと二極化している。IBMはターゲット領域を厳格にし、品質、投資対効果を重視。競争力を高めていくAIを目指している」と強調した。

 大規模言語モデル(LLM)を活用したAI構築のための企業向け統合ツールと位置付ける「watsonx.ai」の日本語版を年内にリリースし、24年第1四半期に製品提供を開始予定。watsonx.aiは、LLMをはじめとする機械学習モデルを構築するためのスタジオ(ツール・機能群)を備え、簡単にLLMを検証、調整、導入でき、短期間でAIアプリケーションを構築できる。

 企業は、自社のデータで独自のAIモデルを構築、または既存のAIモデルを微調整して適応できる。