2023.09.22 【部品メーカー商社ASEAN特集】菱商(タイ) RYODEN
須貝 執行役員
東南ア4拠点で連携し相乗効果
RYODENは昨年、創立75周年を迎えた。
今年4月に社名を菱電商事から変更。FA、冷熱、ビル、半導体・デバイスの基幹4事業に加え、スマートアグリやヘルスケアなど事業領域の幅を広げている。
海外11の国と地域に計21拠点を構え、国内30拠点を含めたグローバルネットワークが強みだ。
バンコクに拠点を置く菱商(タイ)は、半導体・デバイスやFA、冷熱事業が主力。車載、白物家電、産業の3分野が主要顧客だ。売り上げの約9割が半導体・デバイスで、三菱電機のパワーICをはじめパワー系製品が旬の商材となっている。
タイは今年の5月に4年ぶりの総選挙が実施された。野党が勝利したものの、首相が選出されないまま3カ月の空白時期が生じるなど混乱。観光業が打撃を受け、バーツ安が続くなど現地経済にも影響が及んだ。
須貝朋之執行役員経営企画室東南アジア戦略局長は、車載向け市況について「7月のタイ新車販売台数は企業で買い控えが生じ、前年比減少。今年は各社で好不調がある」と説明する。
家電も「エアコンは市中在庫が膨らみ、メーカーの今年度計画は下方修正」の情勢だが、デバイスはタイ国内で設計、開発を行うユーザーへの拡販に注力している。
FAは、グループ子会社の菱商エンジニアリング(タイ)とも協調し、システムアップして付加価値を付ける施策を進める。AGV(無人搬送車)など自動化や省力化のニーズは高く、「現地のSIerと組んでロボットと合わせたトータル提案に注力しており、実績も上がっている」(須貝執行役員)と自信を見せる。
ASEANは、現地で展開する日系の製造業顧客に向けた事業が中心。菱商(タイ)、半導体・デバイスの菱商テクノシンガポール、昇降機とFAの菱商ベトナムの3現地販社に加え、1月にマレーシア北部のペナン州に菱商マレーシアを設立。FAを中心に事業を開始した。
須貝執行役員は、ASEAN地域の成長余地は大きいとみる。「東南アジアの4拠点で情報連携を強めて、地域を拠点ではなく面で捉える〝ワンチーム〟で相乗効果が図れる」と期待する。