2023.09.22 【部品メーカー商社ASEAN特集】日系電子部品メーカー 高付加価値分野に照準
日系電子部品メーカーのASEAN地域現地法人は、自動車や産業機器、半導体関連などの高付加価値分野に照準を合わせた展開を強化している。各社は非民生系分野向けやハイエンドの新製品の生産・販売比率を高めることで、事業の付加価値向上を追求する。
近年は、日系や欧米系などの外資系自動車メーカーやTier1などのASEAN投資が増大し、タイやマレーシア、インドネシアなどでは車載用部品需要が増加しているため、日系部品工場でも車載用部品を軸とした生産能力増強を進めている企業が多い。各社は、自動車業界が求める厳しい品質要求に応えるため、生産ラインの高度化に取り組み、高品質な生産活動に磨きをかけている。自動車業界の品質基準である「IATF16949」認証取得にも力が注がれる。
ASEANでは、半導体産業の集積化も進んでいる。特にマレーシア北部のペナン地域などでは、欧米系をはじめとする主要半導体メーカーが数多く工場展開し、半導体の一大市場を形成しており、今後も半導体各社の大型の設備投資計画がめじろ押しとなっている。このため、日系電子部品メーカーのASEANでの半導体プロセス用部品増産の動きも活発化している。
このほか、現地の電力インフラ需要増大などに対応した、パワー系電子部品の生産体制増強や生産品目拡大にも力が注がれる。スマートフォンやノートパソコン向け電子部品の自動機生産増強にも進んでいる。
特に最近は、米中摩擦激化に伴い、外資系完成品メーカーの中国からASEANへの生産シフトが進展。これにより、同地域での最先端電子部品の調達ニーズが増加しており、ASEAN進出の電子部品メーカーでは、生産品目のハイエンド化や新製品のASEAN垂直立ち上げなどに力を注いでいる。