2023.09.27 【関西エレクトロニクス産業特集】関西の大学で起業支援が活発化 近畿大学 起業支援プログラム「KINCUBA」
起業を目指す近大関係者が24時間利用できるインキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」
起業をめざす学生らで共同体
越智さん 建設DX推進など事業展開
近畿大学は、2022年4月にベンチャー起業支援プログラム「KINCUBA」を開始。同年10月には、起業を志す近大生や職員らのために、大学西門前に24時間利用できるインキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」をオープンした。25年までに100社の近大発ベンチャー創出を目指している。
KINCUBAでは、学生のレベルに合わせた3段階のプログラムを提供。起業への「憧れ層」にはセミナーなどで起業家マインドを持ってもらう。「予備層」には起業するための学び、「準備層」には法人登記までの伴走支援を提供する。
対象は大学職員も含む。研究成果・技術で起業を目指す教員に向け、研究者ならではの問題点を解決し、人材のマッチングや資金調達を支援する。
KINCUBA Basecampの開設により、環境面からも起業をバックアップ。起業マインドが旺盛な関係者が気軽に集まり、自由な交流やディスカッションを行う中で、新たな事業アイデアが生まれるなど、起業にチャレンジするきっかけを創出する。
近大発ベンチャーは既に76社(12日時点)に上る。
うち1社が、経済学部経済学科3年生の越智健心さんの2ndStar。建設DX推進、バーチャルツアー制作などの事業を展開している。
19歳のころに起業した越智さんは「将来、父の建設会社を継ぐために、商売や世の中に影響を与えるにはどうすればよいか考える中で、起業に思い至った」ときっかけを語る。
起業への思いを抱き、近大へ入学。経済心理学を学びながら、起業準備や建設業でのインターンにも取り組んできた。越智さんは「24時間使える、KINCUBA Basecampは便利だ。学内の施設が閉まる夜間でも利用でき、仕事に集中できる。他企業とのリモート会議も、周りの学生の目を気にせず行える。起業を目指す学生同士のコミュニティーがあるのも、近大の魅力だ」と話す。
越智さんが話すコミュニティーとは、起業を志す近大関係者約950人が参加する「起業ナビ」だ。起業に関するセミナーや定期的なピッチイベントなどを行い、先輩起業家とも交流できる場も設けている。
2ndStarが掲げるコーポレートミッションは〝ニッポンを世界のリーダーへ〟。「建設業界の底上げに貢献しながら、インバウンドや海外での需要に応え、天井上げにも貢献していきたい」と越智さんは目を輝かせていた。