2023.10.04 「生成AI活用しなければ取り残される」 ソフトバンクグループ・孫正義氏が講演
講演するソフトバンクグループの孫会長=4日、東京都内
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が4日、東京都港区内のホテルで講演し、生成AI(人工知能)について「米国企業は51%が活用しているのに対し日本は7%。活用しなければ日本企業は取り残される」と危機感を示し、積極的な導入を呼び掛けた。
同日開催されたグループのセミナーイベント「SoftBank World 2023」で特別講演した孫氏は、人間と同じようにさまざまな課題を処理できる汎用人工知能(AGI)が「地球上で最も優れた知能を持つ人類の英知の総和の10倍の能力を持つAGIが10年以内に実現されるだろう」と指摘。産業革命後に電気や自動車がもたらしたと同等の価値を生成AIが生み出すとして「社会全体が画期的に変化し、教育や人生観、生きざまが変わり、社会のあり方、人間関係も変わる」と強調した。
運輸、製薬、金融、製造、物流といった全ての産業に影響を与え、「AGIに取り組んだ企業が10年後、20年後に人類のリード役になっていく」(孫氏)と見通した。実装事例として、自動運転に組み込み事故が起きない交通網の構築のほか、データを活用して需要と供給をマッチングさせ、不良在庫が生じない物流体制を整備、遺伝子解析による個別最適な医療などを挙げた。特に金融分野では「AGIに投資の運用をしてもらえば最も大きなキラーアプリになる可能性がある」と語った。
米オープンAIが開発した対話型生成AI「Chat(チャット)GPT」の最新モデルGPT4は「医師試験や司法試験に合格するまでになった。物理や数学もトップレベルな上にさまざまな言語にも対応できる」と述べ、孫氏自身は「知識の検索ではなく知恵の相談相手として使っている。ディベート相手としてGPTと意見交換している」と明かした。
(5日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)