2020.03.02 在宅勤務支援や衛生管理の仕組み無償提供 サイボウズなど情報各社が新型コロナ対策で

新型コロナウイルスを受けて在宅勤務支援サービスを発表したサイボウズの青野社長

 新型コロナウイルスによる感染拡大を受けて、ITサービス業界で、企業の業務継続を期間限定で支援する動きが相次いでいる。

 ソフトウエア開発のサイボウズは、在宅勤務を支援するクラウドサービスを無償で提供。手のアルコール消毒の実施状況を確認する感染対策を後押しするソフト開発企業も現れた。

 「リモートワーク(在宅勤務)ができずに事業が止まったら、働く側も顧客も困ってしまう。緊急で提供したい」。東京都内で開かれた事業戦略説明会でサイボウズの青野慶久社長は、新型コロナ感染対策の一環でクラウドサービスを提供する狙いをこう述べた。

 サービスは、連結子会社「才望子信息技術(上海)」(サイボウズ中国)から5月末まで提供。社内の情報共有を効率化するグループウエア「Garoon(ガルーン)」のほか、自社の業務に必要なシステムを簡単に作成できる「kintone(キントーン)」などを用意した。中国全土と香港の新規顧客が対象で、日系かローカル企業かは問わない。

 東日本大震災以降、企業が巨大地震や津波などに対応した事業継続計画(BCP)の導入機運が高まった。青野社長は、BCPの観点から在宅勤務の利点とデメリットの双方を把握する「学びの場」になるとも強調した。

 富士ソフトも「感染症の一日も早い収束を願う」との思いで、紙資料を使わないペーパーレス会議を実現するシステム「moreNOTE(モアノート)」の無償提供。

 在宅勤務する複数の従業員がクラウド上に保存された資料をモアノートで共有し、〝遠隔会議〟を行えるようにする。在宅勤務者はセキュリティを確保しながら、ファイルの受け渡しも可能だ。主な対象は国内企業で、登録日から3カ月間利用できる。

 佐賀市に本店を置くシステム開発のオプティムも、感染対策を支援する3種類のサービスを5月末まで無償提供。パソコンやスマートフォンなどを遠隔地から一括管理できるサービスのほか、眼鏡型端末のスマートグラスなどを用いて遠隔で作業指示を出せるサービスを用意した。

 さらに、カメラ映像をAI(人工知能)で解析する技術も感染対策に活用。施設への入室者が手のアルコール消毒を確実に行ったかを確かめる対応をサポートする。

 AIで手指衛生をモニタリングする手法は、既に聖路加国際病院(東京都中央区)で評価してきたという。いずれも、同社サービスを利用していない国内法人が対象。カメラなどのハード購入費や設置費は負担となる。