2023.10.24 【洗濯機特集】量販店・地域店 提案に工夫

商品比較がしやすい売り場づくり

POPも使いながら商品の魅力を伝えるPOPも使いながら商品の魅力を伝える

興味深く洗濯機を見つめる来場客興味深く洗濯機を見つめる来場客

機能などPOPで比較

お客の不満解消をサポート

 家電量販店では、商品展示のスペースとさまざまなPOPを生かした販売を行っている。

 エディオンイオンモール茨木店(大阪府茨木市)は、節電や節水を目的としたお客が高機能のドラム式洗濯乾燥機を求めるケースが増えている。

 省エネ性が優れた商品は、高価格なものが多く、価格だけで比較してしまうと財布のひもが固くなってしまうケースがある。

かかる経費見せる

 家電アドバイザー総合の馬場卓也さんは「1回当たりの電気代など、使用する際にかかる経費をPOPで見せることで、お客さまの価格に対する気持ちに変化が出る」と話す。

 商品や電気代の価格が高騰することは、マイナスと考えてしまいがちだが、接客にうまく取り入れることでプラスの要素として活用できる。

 共働き世帯などは、特に省手間を大切にする人が多く、洗剤の自動投入や静音性なども重要項目になる。POPによる比較情報も使いながら、満足度の高い買い物を提供する。

 ヨドバシカメラマルチメディア吉祥寺(東京都武蔵野市)は、設置性とコストパフォーマンスがドラム式洗濯乾燥機購入の決め手になるケースが増えている。

 同店の洗濯機売り場には、さまざまなメーカーの商品が展示されている。家電コンシェルジェチームの村越大輔グループリーダーは「コンパクトでありながら大容量なところを購入のポイントと考えるお客さまも多い」と話す。洗濯機の大きさは大差なさそうな印象を持つお客が多いが、売り場に並べると、大きさの違いは一目瞭然で、購入の決め手になるケースがある。

 乾燥もできるドラム洗は便利だが、サイズが大きく値段も高いものが多い。

 村越グループリーダーは「アクアの商品は、コンパクトなサイズと手が届きやすい価格帯でコスパが良い」と話す。

 地域店は、各店舗のスペースは量販店に及ばないが、お客の自宅に足を運ぶことで見える本当の需要を提案に生かしている。

 合わせて、近隣地域の地域店が合同で商品展示会を好機と捉えて売り上げにつなげている。

 大阪の東部・中央地区パナソニックショップ(PS)会は、大阪市鶴見区の花博記念公園鶴見緑地にあるハナミズキホールで、合展「秋の大感謝祭」を14、15日の2日間開催した。

 東部PS会の二神剛会長は「既にドラム式を使用しているお客さまが買い替えでドラム式を検討しているケースが増えてきた」と話す。

 会場には、商品とともに「洗濯の手間を省く」として、トリプル自動洗剤投入機能など、図を交えたPOPで分かりやすく提示した。新製品を購入することで、どのように生活が豊かになるのかを具体的に示した。

 キクマ電器(大阪市平野区)の社長でもある二神会長は、普段の接客の中で「説得力」を大切にしている。

 自宅でドラム式を使用している二神会長は「業務の中で汗をかくことが多く、衣類の臭いが気になっていたが、ドラム式の『温水スゴ落ち泡洗浄』を使用してから臭いが解消された」という。「具体的に感じたことを素直に伝えると、商品の良さを感じてもらいやすい」と話す。

 会場には、ドラム式だけでなく縦型の洗濯機も複数展示した。二神会長は「価格面や設置スペースの問題で、ドラム式の成約には至らないケースもある。縦型を受け皿に接客をすることで、お客さまの不満を解消する買い物をサポートしている」と語った。