2023.10.24 グリースの劣化診断アプリの開発開始 日本精工、機械設備の状態保全に活用

日本精工はグリース劣化診断技術を使ったモバイルアプリを開発する

 日本精工は24日、グリースの劣化を現場で高精度・短時間に診断できるモバイルアプリの開発を開始したと発表した。

 グリース使用量の最適化が図れるだけでなく、グリースの劣化把握から機械設備の状態保全にもつなげることができる。

 グリースは、産業機械向け軸受やボールねじなどの転動体が転がる軌道輪の摩擦や磨耗を減少させる潤滑剤。

 グリースの潤滑性能の劣化を放置すると、潤滑不足で金属同士が融着。「焼き付け」と呼ばれる現象で軸受が回転不能になり設備故障に発展する恐れがあり点検が必要となる。

 グリースは目視で確認したり、グリース内の鉄粉を濃度計で測定するなどして劣化診断するが、分析機器に比べると測定精度が劣るのが課題だった。

 設備が損傷するリスクを避けるために早めに補給して必要量以上にグリースを使用したり、一定の頻度で実施することで結果的に無用な点検の発生にもつながった。

 日本精工はグリースを溶剤に溶かして余寿命を測定する技術を蓄積してきた。モバイルアプリはこの技術を活用。目視や鉄粉濃度計より高精度に現場でのグリース劣化診断が可能になる。

 軸受の回転数が増えるごとにグリースは劣化(酸化)し、グリースの色は変化する。軸受などから少量採取したグリースをスマホで撮影して、その色から劣化状態を診断する仕組みだ。

 同社によると少量のグリースから簡便に余寿命が分かる測定方法とモバイルアプリ単独でのグリース劣化診断のいずれも世界初。

 サービス開始は2025年を予定する。

(後日の電波新聞/電波デジタルで掲載します)