2020.03.04 再エネ関連市場 自治体などからの投資規模19年度5200億円 シード・プランニング調査

海岸部に並ぶ風力発電施設

4年後には7300億円規模に拡大

 市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニング(東京都文京区)は、再生可能エネルギー関連市場の最新動向ついて調査し、将来予測などの結果をまとめた。

 関連市場に支出される国や地方自治体、民間の投資規模は19年度に約5200億円に達し、23年度には約7300億円に拡大するとの予測を示した。

 調査は、19年10月-20年1月に実施。国や全国47都道府県が公開している予算資料などをもとに、再エネの導入状況や主な取り組みなどを調べたほか、資源エネルギー庁や関係機関、民間企業などに聞き取りを行った。

 調査結果によると、19年度の再エネ関連市場は、国や都道府県の予算などから再エネ関連事業や、それに伴う民間企業の投資額などを推計して積算すると、5151億円規模と算定されたという。

 さらに、20年度には、前年比13.2%増の5828億円程度と推計。「東京五輪に向けて水素社会実現気運の高まりに伴う投資」や、「低炭素化社会への事業投資や研究投資」などがけん引すると見ている。

 また、その後も伸び率10%台を維持する堅調な投資が続き、21年度には6520億円、23年度は7280億円規模になると見込んでいる。

 同社リサーチ&コンサルティング部は「推定した民間投資額は、今回の試算よりさらに大きいとみる向きもあり、実態の市場はもう少し拡大している可能性がある」と話す。

 さらに、47都道府県別に再エネの導入量を調べると、最多なのが茨城で6007MW。次いで福島の5645MWと、東日本大震災の被災地が続いた。3番目は北海道(4560MW)だった。

 電源別では、水力や地熱などのうち、全国的に9割前後を太陽光が占める自治体がほとんどだったが、上位の福島や北海道では風力も比較的多く導入されている。福島では1073MWに上り、北海道では全体の35%強を占める1614MWに達した。

 再エネ導入量で全国7位の愛知では、バイオマスが2割超を占める836MWに及ぶなど、地域の特性が表れた発電形態となっている。同部は「自治体の首長の力の入れようが、大きく影響している」として「再エネを産業振興として活用を図っている例もある」という。

 また、市町村など自治体が出資する「地域新電力」は19年12月現在で全国に50事業体あり、「エネルギーの地産地消を促進」しているという。

 地域新電力は、ドイツの自治体や地域コミュニティーが出資するエネルギー事業会社「シュタットベルケ」を見本にして広がった。草分けとして知られる「みやまスマートエネルギー」がある福岡県などには最多の3事業体ができている。

 同部は「さらに準備段階のものも多くあり、再エネが雇用促進など地域活性化策の仕掛けとして広がっている」としたうえで、「ただ、エネルギーをどれだけ自前で賄えるかや、変動の激しい国の規制などにキャッチアップできるかなど、難しさも多く抱えている」と課題面を指摘している。