2023.10.27 【ヘッドホン&イヤホン特集】オーディオテクニカ 真空管ヘッドホンアンプとヘッドホン 希少な黒柿使用「鳴神」

「鳴神」

 オーディオテクニカは、最高音質の追求に加え、希少な「黒柿」を外観に取り入れた真空管ヘッドホンアンプ/プリアンプとヘッドホンをセットにした「鳴神」を製品化した。価格は税別1200万円で、同社としては初の1000万円を超える高級オーディオ機器になる。

 鳴神は、アンプやヘッドホンに黒柿を大胆に使用したデザインが特徴。柿の木を切った際、黒色が木の中心部にまれに現れることがあり、これが黒柿として使われる。希少性が高い素材で、日本の伝統文化をデザインのベースにした製品だ。アジア圏を中心とした海外をターゲットに開発したものだが、予想以上に日本からの引き合いが強く、国内販売を決めた。年内をめどに、ヘッドホン単体の販売も計画している。

 真空管ヘッドホンアンプ/プリアンプ「HPA-KG NARU」は、前段各4本のジェイジェイエレクトロニック製真空管「ECC83S」をSRPP回路で信号を増幅。後段各4本の高槻電器工業(京都府久御山町)製真空管「TA-300B」を力強く駆動させることで、洗練されたアンプ回路設計を実現している。

 バランス入力を使用する場合、信号は直接左右のバランス回路に送られる。ライン入力の場合、信号はルンダール社製の入力トランス「LL1532」を介してバランス信号に変換され、左右のバランス回路に送られる。ルンダール社製のアモルファスコア銀線出力トランスを使用し、極めて低い磁気ヒステリシス損失、高い飽和磁束密度、優れた周波数特性を持つ。

 回路設計は、左右のチャンネルをHOT側、COLD側のバランス回路構成とし、全体で四つの回路を持つ贅沢な仕様。左右の音声信号回路に供給される電流は、左右独立した専用電源トランスから供給されるため、高い分離度と低ノイズにより透明で豊かな音質を実現する。

 300Bは、鳴神向けに特別チューニングしたものを使っている。2本の予備も付属し、アンプの近くに飾ることでさらに特別感を演出してくれる。

 真空管の熱を逃がす上部には、日本の伝統的な庭園スタイルである「枯山水」をイメージしたデザインを採用。また、真空管と出力トランスを保護する金属のメッシュカバーに「綾杉模様」を採用。

 ヘッドホン出力は、XLR 4pinのバランス出力ヘッドホン端子と直径6.3ミリメートルのシングルエンド出力ヘッドホン端子を備える。L/Rボリュームバランス調整ノブを搭載し、最適な音量とバランスに設定できる。

 アンプとセットのヘッドホン「AW-KG NARU」も外観に黒柿を採用するとともに、アンプ性能を最大限に発揮するための音質設計を施している。金メッキ素材の2メートルのバランスケーブルに加え、3メートルのバランスケーブルが付属する。

 鳴神は東京都内で28日に開催される「秋のヘッドフォン祭2023」でも披露。会場では各種ヘッドホンも試聴できるようにする。