2020.03.06 エネルギーベンチャーの自然電力、余剰電力買い取り業務支援のクラウドサービス提供
システムの利用イメージ図
エネルギーベンチャーの自然電力(福岡)は、太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)が満期を迎えた住宅などから余剰電力を買い取る業務を支援するクラウドサービス「Shizen EPS」の提供を始めた。
電力小売り自由化で新たに参入した業者などを販売先として想定し、複雑な受付業務や顧客対応をシステム上で効率化できる。
同社は、太陽光や風力などの発電所の開発・建設から運営、小売りまでを手掛けている。エネルギー分野にデジタル技術を積極的に導入する狙いから、新たに「エネルギーテック事業」を立ち上げて、今回、第一弾製品として提供。3年で30件の導入を目指す。
09年に始まったFIT制度では、住宅用太陽光発電設備の電力買い取りが、19年11月から徐々に10年の満期を迎えている。こうした「卒FIT電源」は、電気を生産しながら消費する一方で、余った電気を売ることができる。
民間の試算では、太陽光発電で電力販売を自由に行える世帯は25年までに約240万軒に及ぶとされ、国内の全戸建て住宅の10分の1に相当する規模に達するという。
電力の小売り自由化を受けて、地域に新電力が発足したほか、ガス会社やエネルギー会社などが新たに参入した。同社によると、全国で大小400社程度に上る。
卒FIT電源を巡る市場では、住宅側は売り先を多くの小売事業者から自由に選べる一方、住宅メーカーなど様々な事業者が買い手として参入できる。
買い取り業務を効率化することで、「参入障壁を下げたい」(同社ブランディング&コミュニケーション部)との狙いで、サービスを開発した。
売電先を変える場合、電線を持つ一般送配電事業者などに対して複雑なスイッチングの手続きが必要。
だが、新サービスでは、顧客向けのウェブ申し込みフォームと、紙などで申し込みがあった際に業務担当者が情報を入力できる両方のシステムを提供し、顧客も担当者もワンストップで効率よく対応できる。「エネルギー製品への感度が高い卒FIT顧客との関係強化に役立つ」(同部)という。
また、同社は、買い取り業務の立ち上げを支援するコンサルティングも始める。業務自体を、同社がアウトソーシング先として引き受けることも想定している。
同部は「再エネの強みの一つは分散化された電源。地域の企業が余剰電力を買い取り、地域で地産地消することが大事で、その点にも貢献できるシステムだ」と話している。