2023.11.15 【Inter BEE特集】NHKテクノロジーズ FMラジオ放送波中継ソリューションなど AMから転換見据える

イマーシブオーディオソリューション

 NHKテクノロジーズ(NT)は「超体験!2023~メディア技術で拓く未来~」をテーマに、ソリューションやシステム提案を紹介する。

 全国の民間AMラジオ局は2028年秋をめどに設備の維持や更新に負担の大きいAM放送からFM放送への転換を目指している。

 同社はFMへの転換を見据えて「FM放送波中継ソリューション」を提案。FMマルチパス除去機能、FM回り込みキャンセラー機能、FM同一周波数干渉除去機能など、各種補償器機能を搭載した高機能FM中継装置を開発。ブースでは、同装置の混信除去効果を音で確認する体験を提供する。

 一方、既存のAMラジオ設備維持に向けてもドローンを活用した点検手法を提案。「ドローンを活用した空中線点検」では、これまで課題となった夜間の点検や安全面などに対して、日中点検の実現や点検精度の向上、安全性向上を訴求する。

 時間や場所を気にせずに、MR(複合現実)を活用し放送設備の操作訓練ができる「MR業務訓練システム」を披露。現実空間に高品質な3Dデータ表示ができるマイクロソフトのMRデバイス「HoloLens2」を使い、操作ナビゲーションに合わせ、バーチャルに表示されるボタンや物理ボタンを自身の手で直感的に操作し訓練が可能。

 ブースでは、NTのIP中継車「4K-OB1」の3Dスキャンデータを用い、中継車内のスイッチャー卓などの操作を、MR技術であたかもリアルのように体験を提供する。

 IP対応のシンクロナイザー機能を持つリニアライク編集システムとして「リニア編集シンクロナイザー」を展示。VTRコマンド制御とIP制御によるリモートプロダクションが可能。ノンリニア編集機と組み合わせることで、ハイブリッド編集やスタジオ回線収録、MAにも対応。

 災害時などに求められる多角的な情報提供への取り組みとして「多点映像処理装置クラウドサービス」を提案。ネットワーク上のIPカメラや放送局側のリソースなどの多点映像をマルチ画面として利用できる「ライブカメラシステム」をクラウド上で処理するサービス。文字や静止画も組み合わせることができ生成されたマルチ画面はデコーダーでHD-SDI化し、放送リソースとして活用。

 「イマーシブオーディオソリューション」を訴求。22・2マルチチャンネル音響に対応する「MPEG-H 3D Audio(Level4)」フォーマットを採用したリアルタイムエンコーダーやデコーダー、8K再生機、制作ツールで構成。身近になる立体音響視聴体験を提供。MPEG-H 3D Audioの5.1.4chとバイノーラルで再生するライブデモを実施するほか、制作ツールやスマートフォン視聴、IP/イマーシブオーディオ対応の音声中継車、Dolby Atmosへの応用など、イマーシブオーディオの取り組みを紹介する。