2023.11.17 台湾EVの最新動向報告 横浜でセミナー、日本企業と連携強化で一致
予定を上回る約130人が来場した「Taiwan EV Day 2023」=16日、パシフィコ横浜
急速にEV(電気自動車)シフトが進む台湾ITベンダーの最新事情を紹介するセミナー「Taiwan EV Day 2023」が16日、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開かれた。日台のEV関係者が先端同行を報告し、世界中で競争が過熱するEV市場の獲得に向け連携を強化していくことで一致した。
17日まで開催中の「EdgeTech+2023」に合わせ、アジア各国のデジタル化やイノベーション推進に取り組むアジアシリコンバレー開発局(ASVDA)などが主催。「台湾ITベンダーの自動車シフト/車のIT化と日本企業にとっての商機」をテーマに、4人の講師を招き、台湾の大手各社のビジネス戦略やIT産業の最新動向について報告した。
桜美林大学大学院国際学術研究科の山田周平特任教授は、自動車のIT化に向けた台湾の動向について「自動車版のEMS(電子機器受託製造サービス)であるCDMSでEV完成車を志向する企業」と「パソコンやスマートフォン製造で培った水平分業でEVシャーシの標準化を目指す企業」、「ICや液晶パネルをモジュール化して日米欧の完成車メーカーに納入する企業」の3類型に大別されると説明。その上で「伝統的な完成車メーカーが多い日本として最も強力しやすいのは、モジュール化に取り組む企業ではないか」と持論を展開した。
米アップルのiPhoneを組み立てを手掛ける台湾ペガトロンの林根源博士は、EV開発では「統合プラットフォーム」「多感覚インタラクティブ」「没入型エンターテインメント」「個別化設定」の四つが潮流になっているだと説明。「EVのコア技術を掌握し製品の市場投入速度を速めて利益を増加させるにはサプライチェーンの簡素化が重要だ」として「日本と台湾は関係が良い。協力して変化をつかみ新たな未来を切り開こう」と連携を呼び掛けた。
台湾の液晶メーカーAUO日本法人の宮山隆車載製品管理部長は没入感が演出するスマートコックピットの現状を解説した。センサー技術などの発達で運転の安全性が向上した一方で、運転席に設置されるモニター増加により「多くの情報があふれ、運転者の注意が散漫になってしまう」として、一つのシステムで全ての情報を一元制御するコックピットドメインコントローラーを提案。まずは商用バスなどで展開していく方針を示した。
自動車や産業機器向けのエッジAI(人工知能)チップの開発製造を行う台湾のスタートアップKneronの劉峻誠CEOは、米オープンAIの生成AI「Chat(チャット)GPT」が自動車に搭載されれば「対話できる個人的なアシスタントになる。交通システムと連携して前を走る車が速度を落とせば連動したり、救急車が近づけばスムーズに通行させたりできるようになる」と展望。一方で、生成AIを稼働させるGPU(画像処理装置)は膨大な電力を使うため「低電力消費のチップが重要だ」と述べた。
(20日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)