2020.03.13 日本電子 電子顕微鏡で理科支援活動、児童に科学の楽しさ伝える

電子顕微鏡の操作体験(宮城県石巻市立和渕小)

3Dメガネによる観察(宮城県石巻市立和渕小)3Dメガネによる観察(宮城県石巻市立和渕小)

 日本電子(大井泉社長兼COO)は、07年から子どもたちに科学の楽しさを伝える理科支援活動として、自社の卓上走査電子顕微鏡を使った出前授業を行っている。

 この活動は当初、本社のある東京都昭島市や近隣の小学校などで実施。11年には、東日本大震災の復興支援として東北地方の小学校でも開始して以来、毎年継続して訪問している。

 東京都日野市の小中学校では、都教育委員会の「理数授業特別プログラム」として授業を行ってきた。プログラム満了後も、同市教委からの要望を受けて継続している。

パリでも体験学習の場

 国内だけでなく、同社の仏法人のJEOL(EUROPE)SASのパリ事務所でも実施。日仏文化学院パリ日本人学校の中学生を招待して、電子顕微鏡を使った体験学習の場を設けている。

 授業では、電子顕微鏡の仕組みを学ぶ講義や、児童一人一人が実際に植物の花粉や昆虫などを観察する電子顕微鏡の操作体験を行う。また、3Dメガネによる電子顕微鏡写真の立体的な観察や、アクリル樹脂で固めた昆虫・植物の実、貝などの標本のスケッチも行う。

 日頃、昆虫などを近くで見る機会が少ない子どもたちが、標本を手に取りじっくりと〝観る〟ことで、新しい世界に興味が湧くような創意工夫をこらした授業となっている。

 パリ事務所では今回、ニコンと共同開催。虫眼鏡や実体顕微鏡と比較をしながら、生徒は電子顕微鏡を操作し、極微の世界を体感した。海外での理科支援事業として、3年連続の開催となった。

微細な世界に興味示す

 担当教諭からは「実際に電子顕微鏡を操作する体験により、驚きや発見が多くあったようだ」「普段の理科の授業に関連させた話が子どもたちの理解に結び付いた」などの感想があった。

 子どもたちは、「いつも使っている顕微鏡で見るよりも、より大きく拡大したものが見られたのでとても興奮した」「花粉や生き物の形や造りを知ることができて良かった」など、肉眼では見ることのできない微細な世界への興味を示したほか、「電子顕微鏡の知識も増えた」と装置への関心も寄せられた。

 同社では、これまでに小中学校や科学イベントで電子顕微鏡を持ち込んだ授業や、電子顕微鏡体験教室を500回以上実施してきた。学校の授業ではなかなか体験できない実習を通して、未来の科学技術を担う人材育成につながることを願い、社会貢献活動に取り組んでいる。