2023.11.27 【はんだ総合特集】はんだ業界、カーボンニュートラルに貢献 CO₂削減へ取り組みが本格化

はんだ業界も低融点はんだなどカーボンニュートラルへの取り組みが本格化している

 カーボンニュートラルへの関心が高まり、さまざまな産業界でCO₂削減に向けた取り組みが本格化している。SMT業界の同様な動きにあり、はんだ業界はCO₂削減に向けて低融点はんだ、ギ酸還元ソルダーペーストなどの提案やリフロー炉の低消費電力化、N2(窒素ガス)の削減などを通じて、SMT業界で高まるカーボンニュートラルへの貢献を目指している。

 はんだは合金であり、組み合わせる金属組成によって融点が異なる。

 これまでJEITAが標準組成として推奨してきたスズ(Sn)+銀(Ag)+銅(Cu)系の「SAC305」(Sn-3.0Ag-0.5Cu)の融点は217度だが、一般的には220~250度のはんだが用いられる。

 融点を下げることははんだ槽の省電力化や実装工程の効率化、実装デバイスのダメージ軽減など利点が多く、その結果がカーボンニュートラルにつながる。はんだはBi(ビスマス)、In、Cd(カドミウム)などが含有されると融点が183度未満に下がる。

 千住金属工業は、低融点はんだを使用したソルダリング工法と関連製品を開発し、実装業界に広く提案している。低融点はんだはSn-Bi系棒はんだ「L20」(融点溶融温度139~141度)などをそろえる。はんだ槽はドロスをフロー装置内で再利用する技術を開発しコストも抑えた。リフロー装置は同社比で消費電力量を約10%、窒素使用量を半減した「環境調和型リフロー炉」SNR-GTⅡを新たに市場投入した。

 日本アルミットは、新コンセプトのはんだ新製品「ブーストアップ アルミットスタンダード」を2021年から市場に投入している。ブーストアップ アルミットスタンダードは「デュアルブースト」技術を採用したスルーホールはんだ付け向けやに入り糸はんだ「DB1-RMA」と、フラックスの活性力を瞬時に活性ピークまで導き出す即効性を実現する新開発の「クイックブースト」技術採用のやに入りはんだ「QB-1」がある。はんだのぬれ時間を短縮することで、はんだ付け時間を大幅に短縮し、その結果がコスト低減やカーボンニュートラルに結び付くことを提案している。

 弘輝は、顧客のカーボンニュートラルに貢献する低温実装向けソルダーペーストT4AB58-HF360(印刷用)、T4AB58-HF360D(ディスペンス用)を市場に投入した。少量の添加で効果的に酸化還元作用を示す活性剤を選定、かつ配合量を最適化、活性剤の添加量を減少させつつ溶融性や凝集性を確保する。常温環境下で安定的でSn-Bi系合金に効率的に働く活性剤を選定している。

 日本スペリアも低融点はんだの普及に注力している。「TempSave B37 P610 D4」は、Sn-Bi系低融点はんだの課題とされてきた「耐衝撃性」を大幅に高めた。パワーデバイスの分野に向けてはギ酸還元リフロー専用ソルダペースト「SN100C P900 D3」を提案する。