2023.11.28 OKI、4領域の事業化と事業拡大進める 新規事業開拓に本腰
OKIが新事業領域開拓に意欲的にチャレンジしている。先に開催した「IR DayおよびOKI WORLD 2023」でも、森孝廣社長は「スタイルチェンジで『社会の大丈夫をつくっていく。』」と基調講演で述べ、①全員参加型イノベーション強化②経営陣によるF2F(フェース ツー フェース)コミュニケーション③組織・人事制度改革―などに積極的に取り組んでいく方針を改めて強調した。
森社長は、今年を「本当の勝負の年」と位置付ける。2031年の創業150周年に向け、成長へかじを切る。「事業成長に真正面から取り組む」として、新たな領域へのチャレンジを掲げる。
今年5月に23年度から25年度までの新中期経営計画「中期経営計画2025」を策定した。「環境変化への対応力を強化するとともに、縮小均衡から脱却し、『社会の大丈夫をつくっていく。』」として、数値目標も最終年度の25年度には、売上高4500億円、営業利益180億円、自己資本比率30%を計画する。
この中期経営計画に基づき、将来事業創出戦略の一環として、新たに「イノベーション戦略 2025」も策定した。具体的には、高度遠隔運用や物流、ヘルスケア・医療、CFBの4領域をイノベーション注力領域と設定して、事業化と事業拡大を進める。31年をターゲットに500億円以上の事業創出を目指す。
この4領域はいずれも高い市場成長性が見込まれ、31年には市場規模がそれぞれ数兆円規模に成長する見通しだ。同社の強みである「リアルタイムな双方向処理」と「高品位なネットワーク接続」が生かせる領域だ。また、これからはデータ活用ビジネスの普及により、複数の分野を横断したビジネスが新たな価値として期待される。ここでも、エッジプラットフォームの提案など、これまで培ってきたエッジ領域の強みを発揮できる。
CFBは、Crystal Film Bondingの略で、異なった半導体材料を分子間のみで接合し、電子デバイスの性能を飛躍的に向上させる同社独自の技術のこと。信越化学と次世代パワー半導体の低消費電力・低コスト化実現に向けた取り組みが始まっているが、ディスプレーのグローバル展開や半導体デバイスの複合化、高機能化など期待が高まっている。
こうした新たな市場領域の開拓とともに、森社長は「会社全体のイノベーション意識を高めていく」重要性を強調する。「社員全員が一丸となってイノベーションを起こすために、新規事業の創出、既存事業の革新、業務の改善を対象としたイノベーション活動を徹底していく」と語る。これにより「グローバルを含めてOKIグループ1万5000人全員にイノベーションを浸透させる」と語り、「価値を創造し続ける企業風土への改革」を進める構えだ。
同社では、ISO(国際標準化機構)が定めたイノベーション・マネジメントシステム「ISO 56002」に早くから取り組んできたが、全社運用を開始した。また、17年から構築を進めてきたIMS(イノベーション・マネジメント・システム)「Yume Pro」では、全社規定に落とし込み、この今年8月から本格運用を開始している。