2023.12.05 無線LANと共存のマイクロ波遠隔給電システム 東芝が世界初

 東芝は4日、無線LANと共存できるマイクロ波遠隔給電システムを、世界で初めて開発したと発表した。工場や倉庫でのIoTセンサーのバッテリーレスなどを実現。生産性向上やカーボンニュートラルにも貢献する。

 離れた場所に電力を無線で送ることができるマイクロ波遠隔給電システムでは、周辺の無線LAN(Wi-Fi)通信に干渉することなく、狙った場所に効率良く電力を送る(給電)ことが課題。東芝は、干渉回避機能を搭載した「給電技術」と、受電アンテナの向きにかかわらず、高効率に電力を受け取ることができる「受電技術」を開発した。

 遠隔給電の実用化に向け、周辺の無線LANの信号の有無を検出し給電ビームを制御し、干渉を防げる。受電技術では、垂直の電波(垂直偏波)と水平の電波(水平偏波)を合成して受け取ることで高効率・安定的な受電を実現。従来の約2倍の平均電力を受電できることを実証した。

 工場の製造現場や物流倉庫などで、DX化や省人化の取り組みへの貢献が期待できる。2025年以降の事業化が見込まれる。
(5日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)