2023.12.05 OKIが取り組む「ブルーカーボン」 音響で脱炭素貢献  防衛で培った技術活用

Jブルークレジットを紹介するサイトから

同社のイベントから同社のイベントから

 OKIは、海洋音響技術で脱炭素に貢献する事業の検討を進めている。藻場のCO₂吸収能力が高いことに着目し、計測を通じて藻場の育成や再生を支援。ブルーカーボン・クレジット(Jブルークレジット)として収益化できると見込む。社内全員参加によるイノベーション推進の取り組みの一環で、社内の横断的な取り組みとしても注目される。

 沖電気時代を含め130年以上の歴史のある同社は、防衛関連にも強みがあり、ソーナー技術などを手掛ける。そうした中、さまざまな技術の横断的活用や、社内外の共創活動も推進し、事業アイデアの社内コンテスト「Yume Pro」を進めている。

 当初は37件だった応募数は年々右肩上がりで、開始5年で300件超になっている。そんな中、2022年度の大賞を受賞したのが「ブルーカーボン市場における高精度高品質な藻場計測の実現」。先月あったイベントで、事業化に向けての検討が発表された。

 脱炭素社会への取り組みの一つの手段として注目されている「ブルーカーボン」。海洋生物によって吸収・貯留される炭素のことで、地球温暖化への貢献はもちろん、磯焼けの防止や海の豊かさを守るといった観点からも期待されている。広がるきっかけになったのは、09年に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書。国内でも官民で検討・研究が進められており、吸収量の認証や取り引きを図る「Jブルークレジット」も立ち上がっている。

 こうしてクレジット化が注目されるブルーカーボンだが、藻場の計測は従来、ダイバーによる目視確認で進められており、工数やコストがかさんでしまうという課題があった。

 OKIが検討しているのは、その課題を音響技術で解決するというアイデア。具体的には、音響ソーナーを使って、藻場をマップ化したり、CO₂吸収量を換算したりして情報を整理。低コストでの計測が実現できると考えている。

 まずは藻場計測から始まり、将来は海の見える化を通したエッジプラットフォーム事業をはじめ、環境問題や温暖化対策にも事業を展開することを展望する。

 海の「見える化」としても同社の取り組みは注目されそうだ。(6日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)