2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24展望 環境・カーボンニュートラル
省エネ性をはじめ、再生プラスチックの使用比率を高めるなど環境に配慮した家電開発が進む
リサイクル素材など製品に活用
循環型経済へ移行進む
カーボンニュートラルの実現に向け、省エネ製品の普及、再生可能エネルギーの導入拡大をはじめ、環境配慮に絡んだビジネスが大きく飛躍する時代を迎えている。
省エネ・創エネ・蓄エネ・エネマネが大きなテーマとなる一方、地球環境に配慮したモノづくりなど、環境負荷軽減に向けた取り組みも加速。
CO₂ゼロ工場や、発泡スチロール削減など梱包(こんぽう)材の改良、リサイクル素材の製品への活用など、サプライチェーン全般にわたって環境配慮、循環型経済への移行が強く進められている。
環境配慮への取り組みは、各メーカーにとって必須の課題となっており、環境を考慮しないと企業姿勢が問われ、ビジネスが進まない状況だ。
一方で、Z世代をはじめ消費者の環境配慮への意識も高まっており、幅広い世代で生活スタイルの中に環境意識がしっかり浸透してきた。
内閣府の「気候変動に関する世論調査」(2021年3月、n=1767)では、地球環境問題に関心があると答えた人は88.3%(ある程度関心があるも含む)に上る。
また、脱炭素社会実現に向け、CO₂排出削減などの取り組みに「積極的に取り組みたい」(24.8%)、「ある程度取り組みたい」(67.1%)が合わせて9割を超え、環境意識の高さが浮き彫りになった。
意識の高い人が増えているだけではなく、「今年(23年)の夏は電気代高騰の影響があったか」との問いに「あった」と答えた人が86%(8月、パナソニック「エオリア」調べ/n=550)となり、経済的な面でも省エネへの意識は高まっている。
24年も引き続き、省エネ家電の提案は重要であり、各社はエアコンや冷蔵庫、洗濯乾燥機といった主要商材でさらに省エネ性に磨きをかけた商品戦略を強化している。
また、製品そのものの環境配慮の一環として、リサイクル素材の多用を図るなど、循環型経済の実現に向けた商品開発も進んでいる。
パナソニックや日立グローバルライフソリューションズは、廃棄された家電製品からリサイクルした再生プラスチック材を約40%使用したコードレススティック掃除機を投入。シャープも冷蔵庫や洗濯機の一部に再生プラスチック材を使用している。
三菱電機は使用済み家電製品から回収したプラスチックを独自技術で高純度プラスチック素材に再生し、再び同社家電に用いる「自己循環リサイクル」を本格化させた。
さらに、梱包材の簡素化も進展。段ボールを工夫して耐衝撃性を高め、発泡スチロールレスとするほか、エコ素材を用いたパッケージに転換する動きも各社で加速している。
環境に配慮した総合的な商品開発が24年もいっそう進むとともに、消費者が商品選択時に重視する点にもなりそうだ。