2024.01.04 【家電流通総合特集】全日本でんき屋ネットワーク協同組合 川上 浩央理事長

川上 理事長

6月の東日本勉強会では、組合員の事例共有などを行った6月の東日本勉強会では、組合員の事例共有などを行った

系列、地域の垣根越えた取り組み

 2001年8月に設立した全日本でんき屋ネットワーク協同組合(Dj-net)には全国の電気事業者174社が加盟しており、日々の業務の中での困り事などを共有して解決できる場を提供している。

 組合員は、▽メーカーや仕入れ先を問わず、自店修理にも対応する延長保証▽プロ用家電修理情報検索システム▽共同購買▽顧客管理ソフト「HOKUHOKU(ホクホク)」-の四つの事業を活用できる。

 プロ用家電修理情報検索システムは、延長保証の支払い請求で寄せられた修理事例を中心に蓄積しており、さまざまな家電修理の情報を得られる。

 顧客管理ソフトのホクホクは、19年に株式会社バロンから事業を譲受した。現在は正組合員以外の利用者が多く、利用している1930社のうち98%ほどが電気事業者だ。今年は大幅に改良したものをリリース予定で、さらなる活用拡大を目指している。

 組合員同士の交流機会が多いことも、当組合の特徴の一つ。リアルでもオンラインでも勉強会を開催しており、東日本と西日本でそれぞれ年1回ずつ開催する「リアル東西勉強会」がメインイベントだ。

 23年6月には東京都文京区の全水道会館で「東日本勉強会」、岡山市北区の岡山国際交流センターで「西日本勉強会」を開催し、両会場で合計100社ほどが参加した。

 組合員の事例紹介に加えて、史上初めてコスモス・ベリーズやアトムチェーン本部、エディオンの3社が同じ会場で説明会を行ったことも、メーカー系列の垣根や地域を越えた取り組みといえるだろう。

 全国に組合員がいるので、開催場所によっては勉強会に参加するための移動距離などが長くなってしまうこともあるが、組合で交通費を助成する仕組みがあり、遠方からでも参加しやすい。

 懇親会も親交を深める機会となる。一度会えば、その後SNSなどでも交流しやすくなり、リアルとオンラインの相乗効果を実感している。

 オンラインでは年4回ほど外部講師を招いて販促セミナーを開催し、さらにその都度必要なことを学ぶためのリアル勉強会を開催している。

 23年9月には関東地域グループで、東京都の環境局を招いて建築物のアスベスト(石綿)含有の事前調査について出前講座を実施した。

 組合員は地域店が多いが、それぞれ得手不得手がある。お客さまから相談を受けて「できません」と断るのではなく、どうすればできるか、組合員同士で相談し合い、教わったり教えたりすることができる。

 組合員のメーリングリストを作り、情報発信のために定期的にメールを送信しており、組合員が気軽に相談できるきっかけになっている。

 24年は、家電メーカーの動きから目が離せないだろう。直販や、系列メーカー以外の商品を扱いたいという意識の高まりがあると思う。

 メーカー系列だから安泰、という時代ではなさそうだ。