2025.05.19 「エッジAI」で脱クラウド、次世代チップ開発へ エッジコーティックス

「SAKURA-X」について語るヴェーリングEVP

「SAKURA-Ⅱ」を実装したアクセラレーターカード「SAKURA-Ⅱ」を実装したアクセラレーターカード

ラズベリーパイを用いたAIによる画像セグメンテーションのデモラズベリーパイを用いたAIによる画像セグメンテーションのデモ

 生成AI(人工知能)により業務効率が向上する半面、クラウド環境への接続による演算処理の遅延やデータセンターの電力消費量の増大が課題となっている。こうした中、端末内でAI処理を行う「エッジAI」で存在感を示すのが、ファブレス半導体の新興EdgeCortix(エッジコーティックス、東京都中央区)だ。

 同社は、エッジコンピューティングに特化したAIアクセラレーターを開発している。AI処理に特化したプロセッサー「NPU」の独自アーキテクチャー「DNA」を開発し、AI対応デバイス「SAKURA」などを展開している。

 最新ソリューションの「SAKURA-Ⅱ」は、最大60TOPS(毎秒60兆回)の処理性能と8ワット以下の低消費電力を両立。メモリー帯域を強化し、複雑な演算も効率的に処理できる。今後はストレージの接続規格である「M.2」や「PCIe」などに対応するモジュールとしても展開し、2025年後半の量産を予定する。

 昨年11月には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の次世代通信プロジェクトに採択され、40億円の助成を受けてエネルギー効率に優れたAIアクセラレーターの開発に着手した。Beyond 5G/6Gに対応する通信向けソリューション「SAKURA-X」の開発を進めている。

 SAKURA-Xは、複数チップをワンパッケージに統合する「チップレット」技術を採用し、4チップ構成で1200TOPSに処理性能を高めることもできる。26年までの第1フェーズで初期チップを開発し、26年以降の第2フェーズで生成AIとRAN(無線アクセスネットワーク)を統合したプラットフォームを構築する計画だ。

 ティム・ヴェーリングEVPは「高性能と低消費電力を備えたデバイスの開発力を生かし、AI-RANなどの新たな分野に最適なソリューションを提供していく」と語っている。

<執筆・構成=半導体ナビ