2024.01.10 【電子部品総合特集】脱炭素社会・人口減少時代のイノベーションを先導する高度な電子部品技術
24年の電子部品市場
革新的技術開発を要求
現在のエレクトロニクス市場は、大きな変革期を迎えている。「AI(人工知能)」「DX(デジタル変革)」「モビリティー革新」「Beyond 5G/6G」「自動化/省人化」「脱炭素」などをキーワードとしたイノベーションが加速し、これらの変革を支えるために、電子部品産業には次世代の革新的な技術開発が要求されている。
そして、日本の社会全体の状況も、国内設備投資の復活や賃金・物価上昇など、これまでの数十年からは潮目が変わりつつある。
新型コロナウイルス感染症は2023年5月に「5類」に移行し、日本の経済活動も観光業やサービス業などを中心にようやくコロナ禍前の状況に戻ってきている。一方、電子部品業界では23年に、コロナ禍でのサプライチェーン混乱時に部品ユーザーが部品発注を急増させたことが招いた在庫調整の長期化や、素材価格の高止まりなど、コロナの余波による混乱が年間を通して続いた。海外出張に関しても、中国への出張は制限される状況が継続した。
しかしながら、24年にはこれらの混乱も徐々に解消に向かっていくことが予想され、電子部品産業にとって今年は「本当の意味での市場正常化」に回帰していく年になることが期待される。
電子部品業界から見ると24年も、欧米の景気減速懸念や中国経済停滞の長期化、地政学リスクの上昇、日米の金融政策を背景とした円高懸念など、さまざまなリスク要因が存在する。それでも、電子部品市場の中長期な成長期待には揺らぐところがない。CASEをメガトレンドとした自動車の進化や、情報通信技術の高度化、半導体の微細化、スマートファクトリーの進展、さらには生成AI、メタバースといった新たな潮流が電子部品技術の高度化を促し、市場を成長させていく。
脱炭素/カーボンニュートラル社会の実現に向け、電子部品は重要な役割を担う。社会全体のスマート化促進へのけん引役として、電子部品の重要性は一層増していく。