2024.01.09 【製造技術総合特集】タキゲン製造 サービスロボ向け金属部品拡充、全方向移動可能のメカナム車輪開発

ロボット用メカナム車輪

 タキゲン製造は「ないモノは創ればいい」をキャッチフレーズに、顧客の要望を「カタチ」(製品)にする独自のものづくりを拡大している。同社は1910年の創業以来、各種錠前から工業用錠前へと事業を拡大。錠前で培った金属・樹脂加工、表面処理などの技術を応用して、現在では半導体や医療、農業、EV、家電、交通、ロボットなどさまざまな分野に向けた産業用金具総合メーカーとして国内や東南アジアへも事業を広げている。

 独自の製品で「パチッと金具シリーズ」がある。配電盤・制御盤を溶接レスで組み立てることを目的に開発した同シリーズは、配電盤や制御盤をねじやナットを一切使わず、溶接不要で工具なし、どんな作業者でもワンタッチで簡単に組み立てが可能。溶接職人の不足や品質のばらつきによる生産ロスなどの課題解決にもつながる。適用版板厚は1.6~2.3ミリメートル。

 「ワンタッチピンファスナー」や省力化コーナーではボルトナットは使わずに2枚のパネルに差し込むだけで接合する。

 ロボット向け金属部品を拡充し、サービスロボットの全方向移動を可能にした「メカナム車輪」を開発した。45度のローラー15本で構成し、モーターと組み合わせてモーターを制御することにより、ロボットを左右、前後任意の方向に動かすことができる。ロボットの台車など4輪構成で使用する。許容荷重は1車輪当り500N(50キログラムf)。製品重量は850グラム。

 サービスロボット向け金属製品は、アルミ製タブレットホルダーをはじめ、取っ手と錠前を兼用できるGTロックや電磁ロック、押し出し平型ちょうつがい、ステンレスワンタッチステー、低床重量用キャスター、スライドレールなどさまざま提供している。

 独自のアイデアを駆使した半導体製造装置向け金具・樹脂製品を拡充している。半導体製造技術と製造装置の専門展示会「セミコンジャパン2023」にも出展して、半導体製造装置向け「SEMI規格(SEMIスタンダード)」対応製品などを出品した。

 植物由来の原料を用いてつくられているバイオポリカーボネート樹脂を採用した環境に配慮した埋め込み取っ手AP-197-1-BPC、取っ手2型 AP-3-BPCを製品化した。

 バイオポリカーボネートはバイオエンジニアリングプラスチックの一種で植物由来原料を使用し、石油資源の使用量削減やCO₂排出量の抑制、無塗装によるVOC(揮発性有機化合物)の削減など、環境負荷の低減に貢献できる材料として注目を集める。埋め込み取っ手は取り付けがワンタッチででき、パネル表面の出っ張りが少なく邪魔にならない。

 寸法と強度は従来品と同等で、筐体(きょうたい)設計を変更せず、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みができる。色はブラック。環境配慮型機器や事務機器、計測機器などの用途に適する。取っ手2型は小型の扉や引き出しなどの用途に適する。