2024.01.09 【製造技術総合特集】製造装置 主要各社の24年戦略 安川電機

上山 上席執行役員

産業自動化革命の実現目指す
中国市場は地産地消へ

 安川電機は、製造現場のデジタルデータマネジメントによる自動化ソリューションコンセプト「i³-Mechatronics(アイキューブメカトロニクス)」を推進し、新たな産業自動化革命の実現を目指している。

 上山顕治上席執行役員モーションコントロール事業部長は「2023年度は部品不足などのサプライチェーンの混乱により遅れていた生産が正常化し、受注残を着実に消化している。動きがスローになっている米欧、日本など半導体製造装置向け需要は今後に期待している。中国は市場全体の成長が鈍化しているが、新エネルギーなど成長への投資意欲は潜在的にも強い」と述べる。

 i³-Mechatronics強化の一環で、22年から速度応答周波数が世界最高レベルの3.5キロヘルツを達成したACサーボドライブ「Σ-X(シグマ・テン)」シリーズや、現場の装置や産業用ロボットなどのさまざまなデータを高速でリアルタイムに制御する業界初の「YRM-X(テン)コントローラー」を本格的に市場に投入した。上山事業部長は「Σ-Xの市場の評価が高く、売り上げも伸びている。瀋陽工場では生産のほぼ全数をΣ-Xで占めるまでになった」と説明する。

 i³-Mechatronicsを実践する安川ソリューションファクトリにおいて顧客の高効率な生産活動の課題解決に役立てるデータやノウハウを蓄積している。同様のコンセプトを中国向けにサーボドライブを生産している瀋陽工場にも導入した。

 同社は中国ではサーボドライブの瀋陽工場ほか上海(インバーター)、常州(ロボット)の3生産拠点を構え、主に中国国内向けに生産している。22年6月から稼働した安川(常州)機電一体化系統(中国江蘇省常州市武進区)の新工場は、中国各生産拠点の製品の実装基板やユニット品などを生産し、部品の内製化を含めた地産地消を進める。

 上山事業部長は「量産する。これに伴い瀋陽工場では、これまで日本で生産し中国市場に供給していた一部の機種を生産することなどを検討する」と述べた。