2024.01.12 【放送/機器総合特集】24年 年頭所感 日本ケーブルラボ 田﨑健治理事長

田﨑 理事長

オールIPを中核に、重点分野推進
存続と発展をかけて「再発明」

 能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに被災された皆さまにお見舞い申し上げ、早期の復旧・復興を心より祈念申し上げます。

 昨年は、ウクライナ紛争やパレスチナ紛争など世界情勢の先行きが見通せない中で、わが国の経済もエネルギー価格の高騰などの不安定さを抱えており、工事価格の上昇や労働力不足など、ケーブルテレビ(CATV)事業を取り巻く環境はいっそう厳しさを増しています。

 一方で、新型コロナの5類移行・終息によりインバウンドが回復し、企業収益も改善しつつあり、CATV事業においてもブロードバンドサービスが堅調に推移し、IoTやAI(人工知能)、クラウドサービスなどの新たな技術を活用した地域DX推進の取り組みも進展しつつあります。

 そうした中、日本ケーブルラボでは、新たなケーブル事業を支える技術領域としてオールIPを中核に、インフラ技術軸として「有線」「無線」、サービス技術軸として「サービス品質」「新サービス」といった五つの重点分野を定義し、それらの課題解決に向けた取り組みを進めています。

 オールIPによるサービス連携や新サービス導入を加速化するため「IP自主放送/IP再放送運用仕様」を策定し、各メーカーのご協力の下で相互接続実験を実施し、その概要をケーブル技術ショーでご紹介することができました。仕様の策定や実験の実施にご尽力いただいた関係の皆さまに、改めて御礼申し上げます。

 また、日本ケーブルラボの事務所内に「近未来ルーム」を構築し、会員や関係者が常に体験できるようにしました。

 現在は、スマートホーム関係の各種デバイスやドングル、IoTやLPWAサービスの検証が中心ですが、今後、ラボで開発したアプリやサービスについてもアジャイルに取り入れ、CATV事業者が今後起こりうる変化を自ら想定し、近未来の姿を体感できるような場になるよう、日々進化させてまいりたいと思います。

 また、CATV事業者の技術者育成にも力を入れており、実務者向け「JQE資格制度」と「eラーニング」による基礎コースを設定しています。

 さて、昨年11月に開催しましたオータムセミナーでは、米国のCATV事業者が最新の技術を活用し、有線・無線のネットワークインフラやサービス品質・新サービスを劇的に刷新、存続と発展をかけて自らを「再発明(Re-Invention)」しようとしている姿が改めて浮き彫りになりました。

 わが国のCATVも、新たな技術を活用した再発明に取り組まなければ、存続・発展は容易ではありません。

 日本ケーブルラボでは、オールIPによるサービス連携や近未来ルームでサービス実証などを通じて、CATVの「再発明の羅針盤」となれるよう、職員一同努力してまいる所存ですので、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。