2024.01.12 【放送/機器総合特集】24年 年頭所感 放送サービス高度化推進協会 相子宏之理事長

相子 理事長

4K8K衛星放送の普及へ
魅力や視聴方法を訴求

 昨年5月に新型コロナウイルスが5類に移行し、日本の社会も多くの面で以前の様相を取り戻しています。しかし、感染拡大により、テレワークやオンライン会議の普及など働き方とともに家庭でのインターネット環境は大きく変化しました。さらに動画配信サービスの浸透やテレビ受信機の高機能化なども相まって、放送を取り巻く環境は大きく様変わりしています。コンテンツの流通経路が多様化し、テレビ放送も伝送路の一つといった状況となりました。

 しかしながら、テレビ放送は、日本に暮らす人々にとって信頼できる重要な情報源として欠かせない存在であり、これから先も放送が人々にとって価値あるものであり続けると考えており、その一助となるよう、さらなる放送サービスの高度化のために、当協会としても時代の変化に対応すべくさまざまな課題に取り組んでいます。

 昨今、急速に普及、拡大しているコネクテッドTV(CTV)への対応を検討すべく、一昨年来開催してきた会議を発展させ、昨年、CTV検討部会を設置しました。例えば、CTVの機能を活用して放送・通信連携による利便性を高めることで、より多くの安全、安心な放送由来のコンテンツを、より多くの視聴者の皆さまに届けられるよう、メタデータの共通化について検討を行いました。

 また、ローカル局等が保有するコンテンツのネットでの有効活用方法の検討なども行ってまいります。技術の進展など環境の変化や総務省等の動向にも留意し、会員各社とも連携し、引き続き新たな課題の検討を行いたいと考えております。

 昨年12月1日、4K8K衛星放送が始まって5年が経過しましたが、多様化するコンテンツ・メディアサービスの中で、まだまだその存在価値を十分に示すことができていないのではないかと感じております。当協会の行った調査によれば、「4Kボタンを押せば4K8K衛星放送が見られる」ことを知らないという人も一定数います。このため、昨年は、視聴者の皆さまに「4Kボタンを押そう」を訴求するノベルティーを制作し、約5000部を各地の放送局のイベントなどで配布しました。

 さらに、5年という節目を機に、4K8K衛星放送の普及を加速させるため、「受信機を買っていただく」「4Kボタンを押して視聴していただく」ことを目標に、放送業界のみならず、メーカー、販売店の皆さまにもご協力いただき、業界を挙げた取り組みとして「スゴいぞ、4K・8Kキャンペーン」をスタートさせました。

 春以降となりますが、「A-PAB 4K 番組アワード」も実施する予定です。A-PAB会員社を対象とし、放送事業者はもちろん、メーカー各社にもご応募いただけるものとし、4Kコンテンツの制作力向上、モチベーションアップに資する施策としたいと考えています。引き続き、関係者の皆さまのご協力をいただきながら、4K8K衛星放送の魅力や視聴方法をお伝えし、きめ細かな普及活動を行ってまいりたいと思います。

 当協会はこれからも事業ビジョンである「会員企業・団体が視聴者・ユーザーにより豊かな放送文化をお届けするために、そして、関係産業・関連企業の発展を通じて高度情報化社会の中で更なる貢献をしていくため」に、より一層の進化を目指して技術の検討、普及推進を図っていく所存です。