2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 NECネクサソリューションズ 木下孝彦社長

中堅中小企業に技術訴求
強み持つ領域を横展開へ

 昨年は新型コロナの感染症法上の5類移行後、民需は前年に比べ投資が大きく増えた。一方、公共は自治体システムの標準化を控え、公共系は大型案件が減少したが、全体では受注が前年を上回り売上高は10%成長で落着できる見込みだ。

 限られたリソースを強みが出せる領域にフォーカスしてきたこともあり、利益は売り上げ以上に成長できる見通し。

 人手不足が進む小売業では、薬局やスーパーで自動化、無人化に向けてセルフレジの導入が進んだほか、ホテルでも無人化、自動化が広がった。製造業では立ち遅れ気味だった設計領域でも新規の実績が上がってきた。

 急拡大する生成AI(人工知能)では愛知県碧南市と連携協定を結ぶなど自治体への導入を進めている。

 重点4テーマの底上げにも力を入れている。「付加価値の強化」では、強みを持つ領域をほかの領域に横展開する取り組みも進めている。バス事業者向けのオンライン点呼やバス停のスマート化といったシステムを、部分的に鉄道会社に使ってもらったところ良い反響があり、新たな価値を提供できた。

 「社内指標にプラス1%上乗せ」する取り組みでは、受注時の粗利1%改善や経費の1%削減など1%の重みを社員が意識するようになった。

インタビューに答える木下社長

 「人への投資」では、毎週30分程度、DXや業界動向などをオンライン配信し、成功事例や失敗事例も含めて知見を共有している。業務が属人化しやすいシステムエンジニア(SE)向けにはSE塾を昨年末ごろから月1回開催し、経験の継承を図っている。営業向けにもシミュレーションを通じてトレーニングする仕組みをつくっている。

 「データドリブン経営」では、2022年度に刷新したシステムを活用してデータの可視化はできつつあるが、まだ道半ば。収集、分析、可視化したデータからどういう指標をつくるのかシナリオをつくって取り組んでいる。

 NECグループの中で当社のターゲットである中堅中小企業に対し、NECの技術力を訴求できていない部分がある。安価で導入しやすい形で提供するミッションに改めて取り組み、利用シーンを意識して企画、設計の段階から入り込んで中堅中小企業を支援する取り組みを今年は推進していきたい。

 今後、人手不足が懸念される24年問題やさまざまな規制緩和や基準変更も見込まれるが、変化を捉えて先んじて準備することでビジネスにつなげていきたい。