2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く 日本アビオニクス 竹内正人社長
竹内 社長
赤外線サーモグラフィー、応用領域の拡大を推進
日本アビオニクスのセンシングソリューション事業は、赤外線サーモグラフィーの応用領域を拡大する取り組みを推進している。
同じく民生事業の柱である接合機器事業に防衛分野の情報システム事業を加え、2019年度以後、同社の業績は増益で推移している。
センシングソリューションの事業環境は半導体や電子部品、自動車関連で研究開発需要が堅調だ。少子高齢化で人材不足が深刻化する中、産業保安分野でも火災事故の未然防止のために設備監視のニーズが高まっている。
サーモカメラを用いた特殊計測は顧客価値提案の一つ。波長帯を工夫することでガラス越しにチャンバー内の温度を測定する。半導体ウエハーの表面温度を高分解能で計測することで歩留まり改善にも寄与する。
微細な電子部品の熱分布を高機能サーモで可視化。故障箇所を特定したり、レーザー溶接時の熱分布可視化にも適用可能だ。
サーモカメラの可能性はさらに広がっている。昨年9月にネットワーク対応の「N50シリーズ」を発売した。
LANケーブル接続で遠隔での設備やプラントのリアルタイム監視が可能になった。ブラウザーからカメラの制御やモニタリングを実施。事故を事前に防ぎ、操業停止のリスク低減につなげることができる。
ソリューション提案にも力を入れる。例えば発火監視ソリューションは、バイオマス燃料の自然発火や電池の充放電試験時の発火を、異常発熱の状態監視から非接触で把握できる。竹内正人社長は「発火の予兆監視ニーズの高まりを受けた提案だ」と説明する。
建物やインフラなどの劣化を調査するためにサーモカメラをドローンに搭載する検討を進めてきた。ドローン搭載型サーモカメラを今年中に発売する予定。設備点検など検査効率を大幅に改善し、省人化が図れる。
医療現場への展開も計画し、現在医用サーモカメラを開発中だ。
サーモカメラを太陽光パネルの点検に活用すれば効率的な発電が実現しサステナビリティーへの貢献にもつながる。竹内社長は「自社製品の利用を通じた社会貢献の観点からサステナビリティーを推進したい」と述べる。