2024.01.22 SLIM、月着陸成功 参画企業も喜びの声 太陽電池も月へ

CESでも技術を披露したシャープの太陽電池

JAXAはSNSでも情報発信JAXAはSNSでも情報発信

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の開発した月面探査機「SLIM」の月面着陸成功で、参画してきたエレクトロニクス関係業界各社からも喜びの声があがった。「ピンポイント着陸」への前進で、「今後も先端技術の更なる強化を図り、アルテミス計画などへの参画を通じて、持続的な宇宙探査活動の確立や人類の活動領域の拡大などに貢献する」(三菱電機)としている。

 ソフトランディングが成功したとみられることを踏まえ、JAXA宇宙科学研究所の国中均所長は「ギリギリ合格の60点」と評価した。

 JAXAによると、月周回衛星「かぐや」などが高分解能な月面観測データを大量にもたらし、月探査ミッションは現在、「あのクレーターの隣のあの岩石」といった粒度で議論されるようになっている。機器の集約や構造の工夫により従来と比して大幅に小型軽量な探査機システムを実現した今回のSLIM。月惑星探査の低コスト化、高頻度化に貢献し、小型軽量を実現する技術は、将来、月面から帰還するシステムを検討する上でも重要になる見込み。

 三菱電機は2015年度に、SLIMのシステム開発をJAXAから受注。主に鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)で、設計・製造・試験を担当してきた。今回の成功についても、プロジェクトを通じて蓄積した航法誘導制御技術がつながっていることを改めて提起。今後のさらなる展開を目指すコメントを出した。

 太陽電池ではシャープが協力。同社は米ラスベガスで今月あったCES 2024でも関連技術を訴求した。世界最高効率のフィルム状薄膜3接合太陽電池シートで、曲面にも沿って搭載可能なフレキシブルな太陽電池として、宇宙用では今回が初めての搭載となった。

 今回、着陸の姿勢の関係などで機能していない可能性があるが、データからはSLIMの太陽電池は西を向いており「月面で太陽光が西から当たるようになれば発電の可能性があると考えている」という。復旧へ向け準備が進められている。

 (23日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です。電波新聞デジタルに動画があります)