2024.02.06 【コネクター特集】コネクターメーカー各社、24年も重点アプリへ積極投資 自動車電装品、産機分野などに注力

 コネクターメーカー各社は、2024年も中長期のビジネス拡大に向け、積極的な新製品開発やグローバル営業活動強化を推進する。

 主要コネクターメーカーを対象に電波新聞社が実施したアンケートによると、「24年の拡販重点製品分野」の質問では、回答17社で、最も多かったのが「自動車電装品」の48ポイント。次いで「産業機器(含むFA)」が47ポイントあった(集計方法=上位5分野を挙げてもらい、1位=5ポイント-5位=1ポイントとして集計)。

 3位以下は「通信・放送インフラ関連」が31ポイント、「環境・新エネルギー関連」が20ポイント、「医療機器/ヘルスケア」が18ポイントと続いている。

 自動車市場は、多くのコネクターメーカーが事業拡大のための最重点分野に位置付けている。CASEをメガトレンドとした自動車の技術進化や市場変革が進む中で、自動車1台当たりのコネクター搭載数量は今後も増加が見込まれ、製品のハイエンド化もますます進むことが予想される。

 特に、22年の秋口以降、民生機器市場や産業機器市場での在庫調整が続いている中で、自動車市場への期待は短期的にも一層高まっている。

 産業機器市場は、社会全体の自動化ニーズやスマート化要求の高まりにより、今後も中長期での高い成長が見込まれる。特に世界的な若年労働者不足や昨今の海外を中心とした急激な人件費高騰が進む中で、生産ラインの自動化や省人化、効率化のための設備投資需要はますます増大し、高性能な自動化システムやロボットの需要を押し上げる。

 通信・放送インフラ関連も、社会全体のデジタル化が進展する中で、今後も安定的な成長が期待されている。

 5G/6Gといった通信技術の高度化は、次世代の高速伝送対応コネクターの技術開発を一層活発化させる。完全自動運転を実現する上でも、高度な通信技術が不可欠となる。

 環境・新エネルギー関連分野も、脱炭素/カーボンニュートラル要求が強まる中で、重要性が増している。

 民生機器分野では、世界のスマートフォン市場は買い替えサイクルの長期化もあり、台数成長は伸び悩んでいるが、最先端のコネクターが多数搭載される市場として、今後も重要性は変わらない。ウエアラブル機器は、ポストスマホ分野の一つとして、今後も高い成長が見込まれており、最近はスマートウオッチやAR/VR端末などをターゲットした専用コネクター開発も進展しており、業界標準を目指したデザインイン活動に力が注がれている。

 「24年度のコネクター部門の研究解発費計画」の質問では、回答10社と母数は少ないが、3割の企業が23年度見込み比で「増」と回答し、「減」とした企業は見られなかった。

 足元のコネクター市場は在庫調整局面が長引いているが、コネクター各社の研究開発・技術開発戦略に変化はなく、24年度に向けても積極的な研究開発活動を展開する。各社は、将来の成長期待分野への投資を強化するとともに、工場のスマート化のための投資を推進することで、受注競争力の強化を目指す。