ラピダス（東京都千代田区）は27日、カナダの半導体開発企業テンストレントとの協業で、端末内で処理が完結できるエッジAI（人工知能）アクセラレーターの開発・製造に取り組むと発表した。ラピダスとしてファウンドリーの顧客獲得を発表するのは初めて。

　テンストレントは、米アップルやテスラ、インテルなどで半導体を設計してきた著名エンジニアでもあるジム・ケラーCEOが率いる。

　ラピダスの小池淳義社長やケラーCEOが東京都内で会見。新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）に採択された技術研究組合「最先端半導体技術センター（LSTC）」のプロジェクトの中で協業するとした。ケラー氏は「スピードを身上とするパートナーと組み、日本で有意義なビジネスが構築できる。できるだけ迅速に準備する」と、ラピダス側での早期の生産開始を目指す考えを示した。日本や日本以外の顧客からも関心が寄せられているという。

　ラピダスなどが参画するLSTCは先日、NEDOプロジェクトで、通信量や電力消費を抑えるエッジAI用の2ナノメートルの半導体を設計開発する計画を発表。車載や産業、ロボット、民生などでの活用を見込み、ラピダスでの製造を想定している。

　斎藤健経済産業相は27日の閣議後記者会見で「両社の協業で2ナノ世代の半導体の需要創出や顧客確保が進むことを期待する」と述べた。