2024.03.08 東日本大震災から13年 みなと電化センター 「戻ってきて」の声に応える

被災した店舗(2011年3月末撮影)

再建した店舗には顧客から送られた横断幕再建した店舗には顧客から送られた横断幕

50周年創業祭には来店客から多数の花束が贈られた50周年創業祭には来店客から多数の花束が贈られた

当時を振り返る大森社長当時を振り返る大森社長

 未曽有の大災害となった東日本大震災から11日で13年を迎える。2024年元日には能登半島地震が発生し、地震の怖さを改めて思い知ったばかりだ。そんな東日本大震災から見事に復興し、地域の頼られる存在として活躍する“街の電器屋さん”がある。みなと電化センター(宮城県石巻市、大森幸悦社長)だ。

 「3月11日が近づくと今でも当時のことを思い出す。発生から13年を迎えたが、時間が過ぎるのは早かった」。そう話すのは同店の大森社長だ。

 同店は、東日本大震災の津波で自宅兼店舗が全壊。地震発生当日、大森社長はアンテナ工事に出かけており、お客宅での作業中に被害に合った。店舗の被害状況を確認するために急いで引き返している途中、津波が来ていることを知り、慌てて車をUターン。安全な場所で一夜を過ごした。

 翌朝、津波が引いたことを確認した大森社長は、徒歩で店舗兼自宅に向かった。店舗向かいのホームセンター屋上に避難していた夫人とも無事に再会することはできたが、自宅兼店舗は全壊。山形県の親せき宅に身を寄せることになった。

 大森社長は精神的なダメージなどもあり仕事をする気になれずにいたが、お客や友人から「戻ってきて仕事を続けてほしい」という励ましの電話などを受け、少しずつ気持ちを持ち直していった。

 その後、石巻市内に戻り、中心部の仮設商店街で“街の電器屋さん”を再開。困っているお客などの対応に当たった。車を見て、近くの住民からも家電品の購入相談や電気関係の修理依頼などの仕事が舞い込み出した。地震発生から3年後の14年2月には、海から離れた内陸部に自宅兼店舗を見事に再建した。

 大災害の被害に合いながらもそれを乗り越え、創業50周年を迎えた昨年、みなと電化センターの創業祭は、花束を持って祝う来店客でにぎわった。店舗には来店客からプレゼントされた横断幕も掲げられている。

 今年1月2日には、離れて暮らす家族などが集まり、新年を過ごした。その中で、1日に発生した能登半島地震についても話す機会があった。「被災し亡くなった方も多く、悲しい気持ちになった。東日本大震災当時の話にもなったが、何が起こっても身を守れるよう備蓄などについてはしっかり対策しなければと改めて話した」(大森社長)。

(11日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)