2024.03.18 ATR、「ロボットスケートパーク」を整備 世界初の人・AI共進化実験環境

ロボットスケートパークが設けられたATRのロボット実験棟

ATRで開発中のAIを搭載したヒューマノイドロボットATRで開発中のAIを搭載したヒューマノイドロボット

 国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府相楽郡精華町)は、ATR敷地内に「ロボットスケートパーク」環境を整備した。人がスケートボードなどスポーツを実施する時の脳波・筋電・モーションキャプチャーなどのデータ収集と、ヒューマノイドロボットによる学習実験を並行・連携して実施できる世界初の実験環境スペース。ATRは、京都大学、産業技術総合研究所と共同で、同パークを活用し、人と協働作業ができる人工知能(AI)搭載ヒューマノイドロボットの開発、実験などを行う。

 ATRは、NEDOからの受託事業として20年度から京大、産総研と共同で、人と同程度の俊敏な身体性で人と協働作業が可能なヒューマノイズロボット搭載用AI「サイボーグAI」の基本技術の開発と、開発した「最ボーグAI」が持つ、人と同程度の身体性と実時間意思決定能力を定量的に評価するための実験環境「ロボットスケートパーク」の整備に取り組んでいる。

 今回、環境整備した「ロボットスケートパーク」は、ATR敷地内のロボット棟(床面積486・92平方メートル、高さ7メートル)に設けた。▽人やロボットのためのスケートボードランプ▽人やロボットがスポーツをする際の安全設備▽人やロボットの動きを計測するシステム▽人の筋肉や脳の機能を同時計測可能なワイヤレス計測システム、などを装備。人とロボット(ロボット搭載用AIを含む)のデータ収集、学習を同時に行うことができる実験環境下で、人とAI共進化のための研究、実験に取り組める。

 既に同パークで、ATRが開発中の「サイボーグAI」を搭載したヒューマノイズロボットにより、曲率に変化があるような複雑な環境内において、人の俊敏な運動を真似る動作を生成できることを実験で確認した。人が同様のスケートボード運動を行っている際の脳波・筋電などの生体信号を計測した結果、ポンピングやキックターンなどの運動が脳活動に関連があることも分かった。

 NEDOとATRは今後、京大、産総研と連携を続け、ロボットスケートパークの環境を拡充し活用を進めることで、サイボーグAIに関する基本技術の開発を加速。さまざまな分野の研究者の人・AI共進化の研究も促進する。(21日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報の予定です)