2024.03.21 シャープと静岡大、プラズマクラスターイオンによるイネの初期生育促進効果を確認

レタスをはじめとした葉物野菜、穀物など幅広い植物育成効果にも期待がかかる

播種後7日目のイネの様子(右がプラズマクラスターイオンあり)播種後7日目のイネの様子(右がプラズマクラスターイオンあり)

 シャープは、同社のプラズマクラスターイオン(PCI)技術が、植物の初期生育促進に寄与していることを初めて確認した。静岡大学農学部の一家崇志(いっか たかし)准教授および山下寛人助教との共同研究による。2016年にはレタスでの育成効果を実証していたが、今回イネを使って植物の生育促進のメカニズムを初めて確認した。この成果を背景に、今後国内の植物工場へのPCI技術採用を働きかけていく。

  今回の実証では、その効果の背景となる、プラズマクラスターイオンが寄与する植物の生育促進メカニズムを確認するため、全遺伝情報が判明しているイネを用いた研究を実施した。

 その結果、播種直後からプラズマクラスターイオンを直接照射した場合は、初期生育における芽が送風のみの場合と比較して最大約4倍に長くなった。

 さらに、その生育促進メカニズムとして、エネルギー生成を指示する働き(遺伝子発現)が最大約3倍に増えていることを確認した。

 このことから、プラズマクラスターイオンを照射することで、植物の初期生育を促進できることが示唆された。

 試験はプラズマクラスターイオン技術搭載の密閉された試験装置で、プラズマクラスタ―イオン濃度はイネ周辺で100万個/立方センチメートルを維持し行った。

 一家准教授は、「イネを用いた生育評価および遺伝子解析の実施により、プラズマクラスターイオンの照射が初期生育を促進しているというメカニズムの一端が分かった。このことは、今後のさまざまな作物に対する研究に応用できる」と話す。

 今後植物育成に働きかけるメカニズム解明について研究を進めるとともに、イネ以外の様々な植物の生育育成の検証に取り組む。少なくとも現段階では「生育促進効果と合わせ、機能性成分の増加についても効果が認められる植物もある」(一家准教授)とし、路地栽培以外での農業分野での応用が期待できる。(22日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報)