2024.03.22 コネクター各社、国内外で工場新設へ AIサーバーや車の電動化が需要底上げ

3月に稼働した山一電機佐倉事業所の第2棟(千葉県佐倉市)

 コネクターメーカー各社が、国内外で新工場の建設や工場の拡張に積極的だ。コネクター市況は足元では軟調だが、各社は中長期的視点に立ち、人工知能(AI)サーバーや車の電動化などの需要増を背景にした成長を狙うとともに、モノづくり力の強化やBCP(事業継続計画)の対応なども進める構えだ。

 ヒロセ電機は、生産設備の開発拠点「東北アドバンスト・テクノロジーセンター」(盛岡市)を3月1日に稼働。6月には子会社の郡山ヒロセ電機(福島県郡山市)の新工場の竣工も予定する。郡山新工場は、現行の郡山工場に対し、約2.7倍の延床面積。車載・産機を中心とする先端モノづくり工場として展開する。

 海外では、マイクロコネクターの生産・開発強化のため、韓国ヒロセコリアでも研究開発棟を増設し、今年秋の稼働を予定する。これらにより、中期的な供給力、モノづくり力の対応強化を図る。

 イリソ電子工業は、秋田県横手市に新工場を建設する。2023年度に着工し、24年末の竣工、25年の操業開始を予定。電気自動車(EV)といった車載機器の電動化を中心とした需要の増大や、マルチ生産体制によるBCPおよびマーケット・インによる物流費の低減と生産効率の向上を見据える。工場規模は、敷地面積約5万8000平方メートル、延床面積約2万2000平方メートル。

 他にもイリソは、岩手県花巻市でイリソエンジニアリングの金型新工場を23年10月に稼働させている。 

 山一電機は、半導体テストソケットやコネクターの生産体制強化のために、佐倉事業所(千葉県佐倉市)の敷地内で建設を進めていた新棟「佐倉事業所第2棟」を1月末に竣工。3月から順次、稼働を開始している。新棟は鉄骨造地上2階建てで、1階をプレスエリア、2階をめっきエリアとし、材料搬入からプレス、洗浄、熱処理、めっき、梱包まで、生産の流れを効率的に行えるレイアウトを構築。

 海外でも半導体テストソケットの生産能力増強などのため、フィリピンで新たな生産工場建設のための土地取得を決議。取得用地は、フィリピン子会社プライコンマイクロエレクトロニクスの第3工場建設のための工場用地で、面積は3万3696平方メートル。

 電子情報技術産業協会(JEITA)の統計では、23年度(4~12月)のコネクターのグローバル出荷金額は、前年同期比12%減の4540億円。それでもコネクターの中長期のグローバル需要は、車の電動化や5Gスマートフォンの高機能化のほか、スマートファクトリー関連やAIサーバーの需要増加などにより、継続的な拡大が見込まれている。

(25日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)