2024.03.25 NTT、独自生成AIの商用サービス開始 業務効率化を支援、売上1000億円目標
記者会見するNTTの島田社長(左)と大西佐知子常務=25日、東京都千代田区
NTTは25日、自社開発した生成AI(人工知能)の基盤技術となる日本語特化型の大規模言語モデル「tsuzumi(ツヅミ)」の商用サービスを始めたと発表した。企業の電話対応や現場の業務効率化、IT運用を支援するサービスを展開し、2027年度までに売上1000億円を目指す。
ツヅミは、大規模言語モデル(LLM)の性能指標となるパラメーター数が、米オープンAIの「Chat(チャット)GPT」(GPT-3)の1750億の25分の1にあたる70億パラメーターに軽量化しつつ、高い日本語性能を実現したNTT独自のLLM。昨年11月の開発公表後も図表読解や画像認識と組み合わせた使い方などマルチモーダル対応を高めるなど、商用化に向けた準備を進めてきた。
これまでに製造業のほか金融、運輸、大学、自治体などから500件超の導入相談があったという。
商用化に向けては、コンタクトセンターなど顧客接点の現場支援と、業界や業務に適した従業員支援、セキュリティー対策などIT運用サポートの3つの柱でサービスを展開する。
コンタクトセンター向けでは、通話応対後の要約の自動作成のほか、FAQの蓄積を自動化し顧客の通話待ち時間の削減や応対品質向上につなげる。店舗のデジタル化に向けデジタルヒューマンを活用した「バーチャルコンシェルジュ」も開発した。
業務の自動化・効率化では、業界知識や社内ドキュメントを学習したAIを使い、業界や顧客独自の業務プロセスに合わせた応対を支援する。
IT運用サポートでは、リモートワークやワーケーションといった新しい働き方に対応するため、セキュリティー運用の自動化など企業内のIT運用を効率化し、事業継続性の強化を図る。
オンプレミス(社内運用)、クラウド利用とも対応でき、企業内データを外部に出さず環境に応じた構築が可能という。
記者会見したNTTの島田明社長は「NTTコミュニケーションズ、データ、東西の4社で27年度に1000億円を売り上げたい」と意気込みを語った。その上で「開発には数百人が携わっており、今後もプロダクトアウト型の研究開発を進めるなど必要な投資をしていく」と語った。(27日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)