2020.05.08 東洋計測 世界の良品を発掘・紹介、サポート体制強化

新機能を備えたイーサスコープnXG「エアマッパー」

BLEテスター「RTX2254」BLEテスター「RTX2254」

 東洋計測器は、海外メーカーの「日本総代理店」として多様な製品の紹介と普及に努めている。現地工場を視察して、開発設計や製造ラインから検査体制までを評価。使用機材や検査手順書もチェックし、「総代理店として販売する製品には全責任を負う」との姿勢で提携企業を選定、サポート体制にも力を入れる。

 同社が日本総代理店を務める米ネットアレイは4月、昨年末に発売したハンドヘルド測定器「イーサスコープnXG」をバージョンアップした。Wi-Fiと有線ネットワークの迅速なテストとトラブルシューティングができるポータブルネットワークアナライザ。接続状況を即座に検証でき、エンジニアはセンターに居ながら、リモートアクセスで現場の技術者と協力して問題解決が図れる。

 新機能の「エアマッパー」は、エリア内のWi-Fi測定値を収集し、クラウドを介して色や濃淡で通信環境を視覚化するヒートマップを作成。工場やオフィス内のアクセスポイントを最適化できる。年間サポート契約なら無償でバージョンアップに対応し、新機能も利用可能。国内ユーザーの便宜に配慮して、更新情報も本国に先駆け日本語でリリースする。

高度な通信環境調査

 ネットアレイのほかの製品としては、カバーエリアの予測や近隣チャンネルの確認、干渉波の検出ができるソフトウエア「エアマグネット」もラインアップ。データの蓄積・解析でさらに高度な通信環境調査ができる。

 デンマークRTXのブルートゥース(BLE)テスター「RTX2254」もこのほど機能を拡充した。有線接続不要でコネクタのない製品にも対応。アンテナとつなげばシールドボックスに入れても計測できる。近年増加しているスマートウオッチやイヤホン、補聴器などブルートゥース製品のメーカーから出荷・品質検査用に引き合いが増えている。

 RTXが製造するコードレス電話、ドアホンなどの通信規格「DECT」向けのテスターも一手に取り扱う。「RTX2018」は通信速度を改善したDECTの次世代規格にも対応する。

 DECTは欧州でセキュリティシステムに使われ、今後はマイクなど音響分野への活用の広がりが期待されている。

 東洋計測器の海外メーカー総代理店戦略は2路線で展開。まず、IoTやウエアラブルなど市場拡大が予想される分野の製品で、ネットアレイ、RTXの扱うWi-Fiやブルートゥースなどの通信関連測定器だ。

 もう一つは、高品質ながら価格競争力のあるもの。中国ユニティや台湾ピコテストなど、OEMを手がける一方で、自社ブランドの拡大も図る企業の製品群となる。昨年11月に総代理店契約を結んだユニティの赤外線温度計は、低価格も受けて入荷早々品切れに。サーモカメラも手軽な体表面温度検知用として利用されている。

 同社では、製品の開発力や供給力だけでなく、将来性やリーダーへの信頼感なども見定めた上で、総代理店契約の可否を判断。今後も世界の企業の〝発掘〟を続けていく。