2024.05.25 人手不足解消、AI使い続々 ヤマダは接客ロボ KDDIはドローン活用
ヤマダHDが実現を目指すAI接客ロボの利用イメージ
あらゆる業界で人手不足が叫ばれる中、家電量販店最大手ヤマダホールディングス(HD)がAI(人工知能)ロボットを使った接客サービスの実現に乗り出した。ANAホールディングス発のスタートアップと業務提携。家電流通の枠を超えたサービスの横展開も視野に入れる。KDDIも米国ドローン大手と提携し、ローソン屋上などをドローン基地にして全国どこでも10分で駆け付けられる仕組みづくりを検討するなど、深刻化する人手不足を、AIを軸にしたテクノロジーで解消しようとする動きが相次いでいる。
「国内外で1万を超える拠点数を有する、グループの持つ接客スキルを反映したAIサービスの創出を目指す」。avatarin (アバターイン、東京都中央区)との提携を発表した21日、ヤマダHDは自社リソースを生かしたサービス実現に向けてこう強調した。
ヤマダHDは、アバターインのAIロボット「newme(ニューミー)」を活用し、遠隔操作して接客するサービスの実現を目指している。グループの持つ接客スキルをデータ化。生成AIを活用してそのデータを学習することで、洗練された接客AIサービスにつなげる狙いだ。
開発した接客AIサービスを活用し、店舗開発や人材育成などに生かすほか、家電流通業界をはじめ、住宅や金融、環境などヤマダHDの事業領域に横展開することも視野に入れている。接客AIサービスを基に、在庫や宅配など接客以外のAIサービスを開発する意向も示す。
ヤマダHDが目指すのは、高度な接客スキルを持つ販売のプロフェッショナルがロボットを遠隔操作するサービスを通し、見て、聞いて、話すなど複数のマルチモーダルなデータを収集することだ。高度な接客データを集め、質の高い接客AIサービスの実現につなげ、家電流通でも課題となっている人手不足への対応も図る。
人手不足をめぐっては、KDDIがドローン製造世界大手の米Skydio(スカイディオ)との資本業務提携を13日に発表したばかり。AI搭載の最先端ドローンを活用し、人手不足が深刻な点検や監視現場の業務支援に乗り出す方針を示している。夜間も飛行でき、モバイル通信がつながればどこでも飛んでいけるAIドローンの性能を生かし、ローソンの店舗屋上など全国1000カ所にドローンポートの整備を進め、国内であればどこでも10分で駆け付ける体制の整備も進める考えだ。
総務省によると、労働人口の減少で2030年には644万人の人手不足が予想されている。こうした中、建設業を中心としたドローン活用に限らず、AIロボットによる人手不足解消といった動きは、小売りといったリアル店舗をウリにしたサービス産業にも今後広がっていきそうだ。