2024.05.31 【やさしい業界知識】オーディオ
グローバルで底堅く推移
若年層への裾野拡大が課題
オーディオ関連市場は、音楽を楽しむオーディオシステムから映像と音響を楽しむホームシアターシステム、外出先でも音楽を楽しむ携帯オーディオ、ヘッドホンまで幅広い。趣味・嗜好(しこう)の世界だが、グローバルでは市場は底堅く推移している。
2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大による〝巣ごもり〟需要で、自宅で楽しめるオーディオ機器への関心が高まったものの、コロナ後は外出機会も増え市場は落ち着きを見せている。一方、オーディオ愛好家の年齢層が高くなる傾向があり、いかに裾野を広げていくかが課題になっている。
ハイレゾが拡大
一般的なオーディオシステムは、音を鳴らすためのアンプやスピーカー、音楽を再生するためのプレーヤーなどで構成される。これまで音楽を再生するにはアナログレコードプレーヤーやCDプレーヤーなどが一般的だったが、この数年はCDよりも高音質なハイレゾリューション(ハイレゾ)音源が拡大し、インターネット経由で音楽を聴くネットワークオーディオなども増えてきた。
オーディオシステムはアンプからスピーカー、プレーヤーなどをセットにしたコンポーネントステレオや、小型化した「ミニコンポ」、それぞれを個別にそろえていくピュアオーディオシステムまである。
最近はスマートフォンなどにダウンロードした音源を簡単に接続して鳴らせるシステムやスマートスピーカーも増えている。
国内のオーディオメーカーは、ソニーやパナソニック(テクニクス)、JVCケンウッド、ヤマハなどのほか、オーディオ専業ではデノン、高級オーディオのアキュフェーズ、ラックスマンなどが製品を展開している。ピュアオーディオの世界では海外メーカーが強く、各社がしのぎを削っている。
電子情報技術産業協会(JEITA)の出荷統計をみるとオーディオ関連は減少傾向が続いているが、スピーカーやシステムオーディオなど底堅い需要を示す製品分野もある。
この数年で一気に拡大してきたハイレゾ音源はオーディオ市場には追い風で、日本オーディオ協会が取りまとめているハイレゾ規格対応の製品展開も進む。
世界ではスマートスピーカーが新興国を含めて拡大する見通しで、日本でも今後、スマートスピーカーは買い替えも含めて進んでいくとみられている。
同時に良い音への原点回帰が加速しアナログレコードも注目されるようになっている。最近はレコードプレーヤーの製品群も増え、手に取りやすい価格帯の製品も出ている。
高精細4Kテレビの普及や「ドルビーアトモス」など映画館のような立体音響が楽しめる技術が出ている。大画面映像を迫力ある音で楽しみたいという需要は多いことから、各社はテレビに接続する棒状スピーカー「サウンドバー」などを入り口にホームシアターへの提案を進めている。
スマホで楽しむ
スマホで音楽を楽しむ人が増えている背景から、より高音質なヘッドホンの需要も高まっている。
最近はワイヤレス接続ができるブルートゥース対応ヘッドホンや、ブルートゥース対応スピーカーも一気に拡大してきた。無線でも高音質で再生ができる圧縮技術が出ているため、ワイヤレスもキーワードになってきている。
ヘッドホンではノイズキャンセリング技術が注目されている。外出時の騒音下でも外部の音を遮断し静粛な状態で音楽が楽しめる。最近は在宅勤務の拡大で、オンライン会議向けのヘッドホンも増えてきている。
(毎週金曜日掲載)