2024.07.09 【家電総合特集】後半戦の取り組み パナソニック くらしアプライアンス社 堂埜茂社長

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新販売スキームの比率を拡大

海外事業、アジア市場で伸ばす

 2024年度に入って、市場環境に想定外のことが起こっている。ただ、二つの想定外のことを除けば、おおむね計画通りには進んでいる。

 想定外の一つは為替だ。中国で製品を作って国内に持ち帰る、あるいは第三国に持っていくという形が当社では多いため、やはり人民元が高騰することで大きな影響を受ける。もともと計画には織り込んでいたが、計画以上に逆ブレした。

 二つめは、中国の市況が悪化していることだ。市況悪化を予想していたが、不動産市況のあおりを受け、家電をはじめ消費が思った以上に落ち込んでいる。この影響も大きい。

 あとの地域は比較的順調なので、体質改善をさらに強化しながら、二つの逆風のインパクトを消し込んで、上期は予定通り乗り切りたいと考えている。

 国内市場の状況については、あまり心配はしていない。24年度通期については、しっかり原価低減をやった上で、新商品を連打していく。

 現状でも「ラムダッシュ パームイン」や高周波治療器「コリコランワイド」といった好調の商品があるが、これらに加え、大型冷蔵庫でAIカメラ搭載・野菜室が真ん中のCVタイプをはじめ、秋にかけて幅広い商品分野で新製品発表を計画している。お客さまから支持され愛される商品を積極的に投入する。

 新販売スキームについては、流通にも定着し、今後さらに比率を上げていきたい。新販売スキームは価格が安定するため、愛される商品との相性も良い。お客さまに愛される商品であれば価格も維持できるわけで、グローバル標準コストに取り組みながら、新販売スキームにこうした商品をどれだけ載せていくか成功確率を高めていくことが今後の重要な課題だ。

 また実需連動型SCMについても、協業いただける量販法人が増え、対象カテゴリーも拡大している。ITを駆使し在庫が減った分を補充するため、滞留在庫を持つ必要がなくリスクを減らせる。さらに協業いただける法人、カテゴリーを増やしたい。

 海外事業については、中国が減速するなか、アジア市場で伸ばしていく。差別化技術による商品力と売り負けない価格、商品ラインアップをそろえ、利益の面積を広げる。このためアジアでは顧客接点を強化すべくD2Cビジネスモデルを構築し、積極的に投資を図る。これによりロイヤルカスタマーを増やし、パナソニックファンを固めていきたい。