2024.07.09 【家電総合特集】ホームシアター 立体音響を主流に展開 サウンドバーで対応モデル増

立体音響の提案が進む

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 テレビの大画面化が進む中で、ホームシアターへの関心も高まってきている。この数年は映画館と同じような音を家庭でも楽しめる立体音響が主流になっており、高精細4Kテレビの上位機には標準搭載のスピーカーシステムで実現できる機能が付いてきた。簡易型の後付けスピーカーシステムの「サウンドバー」でも立体音響に対応するモデルが増えてきており、本格的なホームシアターへのステップアップとしても注目されている。

 ホームシアターは、これまでドルビーデジタルによる前方左右2スピーカー、前方中央スピーカー、斜め後方左右2スピーカーに低音のウーハーを組み合わせた5.1チャンネルが主流で、今もこのシステムが一般的だが、最近は天井からも音が降り注ぎ、まるでその場にいるかのような没入感のある立体音響が注目されてきている。

 立体音響で主流なのがドルビーラボラトリーズのシネマ音響「ドルビーアトモス」だ。映像などに合わせて音を映画館内で移動させるため、現実と同じ空間にいるような音が体感できる。アトモスは多くのハリウッド制作スタジオに採用され、対応した映画タイトルも多い。同様に米DTSのマルチチャンネルオーディオ技術「DTS:X」もあり、対応する機器も増えている。ソニーも360度の包み込まれる音響として360リアリティオーディオを展開する。

 立体音響に対応したコンテンツが増えてきていることもあり、テレビメーカー各社は最新のテレビのスピーカーシステムを立体音響対応にしてきた。デジタル処理技術の進展もあり、これまでもホームシアター機能を展開してきたが、この数年のモデルでは画面上に天井方向に音を出すスピーカーを付け、本格的な立体音響を実現できるようにしてきた。

 さらに立体音響をテレビに関係なく楽しめるようにするのがサウンドバーだ。テレビの前に置く棒状のスピーカーで、デジタル処理で立体音響が楽しめる。重低音のウーハー付きやリアスピーカーが付いたモデルも。立体音響などに対応しないテレビでも映画館のような音が体感できるため、テレビとのセット提案なども進む。

 ■実際の音を知らない人が多い

 Hi-Fiオーディオと同様に、ホームシアターシステムも実際の音を知らない人が多い。「映画館のような音を自宅で実現できることを知らない人もいる」(業界関係者)という。今年開催した国内最大級のオーディオとホームシアターの祭典となる「OTOTEN2024」(主催=日本オーディオ協会)でも立体音響のセミナーや実演もあり、多くの来場者が体感していた。

 立体音響のコンテンツの普及とともに再生環境をより身近なものとして提案していくことが求められそうだ。