2024.07.12 【やさしい業界知識】空気清浄機

▶画像ギャラリーへ

PM2.5や花粉症対策など活用

アフターコロナで市場縮小、再成長をめざす

 空気清浄機は、室内の空気中に浮遊する花粉・ハウスダストやペットなどの臭いを抑える装置で、構造的にはパネル・集じんフィルター・脱臭フィルター・ファンで構成されているものが一般的だ。本体内に設けたファンにより強制的に空気を吸い込み、フィルターを通して空気中の汚れや臭いを取る。

 脱臭性能および集じん性能の測定については、日本電機工業会(JEMA)が定めた規格・JEM1467(家庭用空気清浄機)があり、これに基づいて適用床面積や清浄時間が表記される。

国内メーカーが高シェア

 空気清浄機は、外資系メーカーを含め、国内市場に参入するメーカーは多いが、シャープやパナソニック、ダイキン工業といった大手国内メーカーのシェアが高い分野だ。

 一般家庭用に空気清浄機が登場したのは1962年で歴史は長いが、長い間需要が大きく伸びることはなく、なかなか必需品として定着しなかった。

 大きく注目されるようになったのは、大気汚染が深刻になりPM2.5が話題となった2012年度で、このとき市場は300万台弱の出荷となり、一つのピークを迎えた。花粉症が広まっており、その対策商品としても注目された。

 また、最近では新型コロナウイルス感染症の拡大で、清潔・衛生意識がより強まったこと、在宅時間が増えて室内の空気質に対する意識が広まったことで、さらに注目が集った。

 コロナ禍に見舞われた20年度には、出荷台数が過去最高となる358万6000台(前年比176.9%/JEMA調べ)を記録している。

 12年度にPM2.5問題で一つのピークを迎えた需要は、その後ほぼ200万台程度の安定した需要で推移していたが、20年度に一気に規模が拡大、当時は商品供給不足から、大手メーカー各社は増産投資を図り対応したほどだ。

 国内市場の拡大を見て、参入メーカーはさらに増加し活気を帯びた。しかし、21年度、22年度と需要は前年を割り込み、アフターコロナの局面となって、市場の縮小が続いていた。

 JEMAのまとめでは23年度は前年比約90%の160万台程度、24年度もほぼ同水準が見込まれ、縮小傾向に歯止めがかかる可能性もある。

 現在の普及率は4割程度で、中には複数台所有する世帯もあるが、まだ購入したことがない家庭も多く、成長途上の商品分野といえそうだ。

 コロナ禍で高まった空気質へのニーズは、依然根強いものがあり、メーカー各社では、商品戦略のテコ入れを図り、再成長を目指そうとの動きは今年強まりそうだ。

高付加価値品に力

 空気清浄機には、空気清浄機能に加え、加湿や除湿、除菌・脱臭効果があるイオン発生機能搭載といった複合的な機能を搭載し、付加価値を高めた商品戦略が活発となっている。(毎週金曜日掲載)