2024.07.30 【家電流通総合特集】電気製品認証協議会、設立30年迎える 「Sマーク」消費者への認知度拡大へ

 電気製品認証協議会(SCEA)は、製造者、流通、消費者の各団体や認証機関など48団体と学識経験者で構成され、電気製品の安全性向上と「Sマーク」の普及に努めることを目的に1994年に発足。今年で設立30年を迎える。

 Sマークは、製造事業者や輸入事業者が第三者認証を受けた電気製品に表示することができる安全マーク。工場調査や初回ロット検査を経て適合すれば認証登録となり、製品に表示できる。

 2023年度の報告によると、Sマークの新規認証は1381件(前年度1437件)、認証モデル数は3910モデル(同3757モデル)。認証取得者数は602事業者で、登録工場数1000件のうち国内が301件、海外が699件。海外の登録工場の国別割合は、中国が78.8%と最多で、次いで韓国、タイ、マレーシア、ベトナムと続く。

店頭普及率72%

 Sマーク付き電気製品の店頭普及率は、実販中心の調査では平均で72.1%。2月に行ったウェブアンケートでのSマークの調査(回答5412件)での認知度は、前年から1.9ポイント増の32.9%となったものの、まだまだ低い。

 SCEAでは、新型コロナウイルス感染症の影響でこの3年間は海外メーカーへの働き掛けが十分にできなかったが、今後は海外メーカーのSマーク取得推進を重点的に進めるとともに、一般消費者への認知度拡大に向けて広報活動に力を入れていきたいとしている。

 また、近年、取り扱いが増えているネット販売事業者に対しては「オンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)」と、製品安全に関する情報交換を実施するほか、製造事業者、流通事業者向けに製品安全セミナーをオンラインで開催する。

 若年層への認知度拡大の取り組みとして、全国小学校家庭科教育研究会との関係を構築し、Sマークに関するオリジナルの副教材を作成。同研究会のホームページに掲載して、授業で活用してもらえるよう訴求する。

 SCEAの平井雄二事務局長は「消費者側の認知度を上げることで、間接的に流通やメーカーに働き掛けたい」と考えている。

 経済産業省は電気用品安全法の技術基準の解釈を性能規定化するとして国際基準を中心とした別表第十二への一本化を進めている。22年末に先行して改訂されたリチウムイオン蓄電池に関わる技術基準の解釈別表第九廃止の猶予期限は24年末となっており、「特に輸入品には注意が必要」(平井事務局長)という。

電気ケトル追加

 また、電気湯沸かし器(電気ケトルなど)の転倒流水事故対策として試験項目が今回追加された。Sマークでは、いち早く電気ケトルの転倒による乳幼児のやけど事故に注目し、13年から事故防止のための追加基準を設けて運用してきた。

 平井事務局長は「機動力が私たちの強み。Sマークと電気用品安全法は、製品安全をつかさどるための両輪であると考えている」と話す。