2024.08.05 NTTコムがIOWNを半導体製造に活用 北海道・千歳に基盤構築へ
NTTコミュニケーションズは、NTTが開発を進める光技術による次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」技術を最先端半導体の製造に活用しようと、基盤システムの構築を進めている。7月には、半導体工場の整備が進む北海道千歳市に拠点を開設し、技術開発支援を加速させたい考えだ。
IOWNは、端末からサーバーまで全てを光信号で伝えるオールフォトニクス・ネットワーク技術(APN)を活用し、30年をめどに電子ベースの通信網を全て光ベースにすることで、高速大容量・低遅延化と低消費電力化を目指す取り組み。従来の電子ベースの通信ネットワークと比べ、消費電力を100分の1に、遅延を200分の1に抑えられるとされる。
今回の取り組みは、製造過程で多くのサーバーが必要となり大量の電力を消費する半導体にIOWN技術を活用して、データ通信を高速大容量化しながら消費電力を抑制するのが狙い。
地方創生へ
そこでNTTコムは、先端半導体の国産化を目指すラピダスの工場建設が進むなど集積が進む北海道千歳市を起点に産業や地域課題を解決する事業コンセプト「HOKKAIDO IOWN CAMPUS」を創設。日本の半導体産業が持続的に成長する仕組みを構築し、北海道の地方創生につなげる取り組みを展開する。
具体的には「半導体産業クラスター」「IOWN産業クラスター」「学術機関クラスター」で事業を進める。
半導体産業クラスターは設計や開発、製造を支える企業や研究開発を集積。IOWN技術を活用した基盤システム上で、データの伝送やアプリケーションを稼働させ、サーバーの削減や消費電力の削減を目指す。
IOWN産業クラスターはIOWNを活用した自動運転バスや除雪作業の効率化、カーボンニュートラルへの貢献などに向けた技術検証を行いながら社会実装を目指す。
学術機関クラスターは、北海道を起点として半導体やICT(情報通信技術)領域の人材育成に向け、企業や大学などの集積を進める。
拠点を開設
7月1日にはHOKKAIDO IOWN CAMPUSの拠点となる事務所を千歳市内に開設。今後、本格的な事業展開を進める。
NTTコムは「半導体産業を皮切りに、さまざまな産業のプラットフォームにIOWNを活用し多くの社会課題の解決につなげていきたい」としている。