2024.09.26 【関西エレクトロニクス産業特集】分野別動向 防災

量販店では防災商品の需要の高まりを受け、品ぞろえを強化したり売り場を変更

ポータブル電源など関心

南海トラフ地震などに備え

 能登半島地震をはじめ、8月には南海トラフ地震臨時情報の発表や台風10号の被害などがあり、防災について考える機会が増えている。関西地方のメーカーや商社は防災関連商品を展開。流通の現場でも需要の高まりを実感しているようだ。

 国の試算では、南海トラフ地震が発生した場合、最大震度は7となり、大阪府や兵庫県で津波が発生。和歌山県では津波の高さが最大20メートルに達するといわれている。

 また、大阪府、兵庫県、和歌山県の9割で停電が発生すると予測されている。能登半島地震では停電が約1カ月間続いた地域もあり、非常時の電源確保が重要になる。

 パナソニック エレクトリックワークス(EW)社は、可搬型バッテリー「e-block(イーブロック)」の提案に注力している。バッテリーと充放電器が分かれており、ほかのバッテリーを充電しておくことで、交換しながら継続的に使用できる。

 大和無線電器は、カセットボンベを使用した発電機「enestar GEN-1000」を取り扱っている。カセットボンベで発電できるので燃料の保管がしやすく、補給も簡単だ。

 関西地方の家電量販店でも、南海トラフ地震臨時情報の発表を受けて、ポータブル電源やモバイルバッテリーの購入・問い合わせが増え、特に8月中旬から下旬にかけて引き合いが多くなった。高価格帯の商品も購入され、入荷まで2カ月程度かかる商品もあったという。

 上新電機岸和田店では、ポータブル電源でどのような家電を充電できるのかという問い合わせが多かった。岸和田市は、2018年9月に台風21号が上陸した際、広範囲で停電が発生した。こうした経験から防災関連商品への関心が高まったとみている。

 エディオン京都四条河原町店(京都市下京区)でもポータブル電源やモバイルバッテリーの引き合いが高まった。ポータブル電源は、「在庫があれば購入したい」という来店客もおり、20万~30万円ほどの高額商品も売れた。

 南海トラフ地震臨時情報が発表された後には商品を見に来る客が増えるとみて、ポータブル電源売り場の配置を変更した。それまでは一つの什器(じゅうき)にまとめて展示していたが、二つに分けて間に通路を作ることで、来店客が1カ所に集中しないように工夫した。