2024.11.21 電子部品40社、4~9月は6割強が増収 FAは厳しさにじむ
電子部品40社の4~9月期連結業績の合計
主要な電子部品40社の2024年4~9月期連結決算は、企業により明暗が分かれた。スマートフォンなどのICT関連需要が各社の業績を押し上げた一方で、産機市場を主戦場とする企業では厳しい結果となった。中国や欧州の経済停滞で、下期の需要見通しもやや慎重姿勢が目立つ。
40社の上期決算は、売上高は6割強の25社が前年同期比増収となり、うち8社が2桁伸長。営業利益も全体の6割近い23社が増益または黒字転換となった。5割以上の大幅増益となった企業も8社に達している。半面、減収や赤字となった企業も多数見られ、まだら模様の状況となった。
分野別では、4~6月に好調だったスマホやHDD、データセンター向け需要は7月以降も好調に推移。車載分野では、電気自動車(EV)関連は減速したが、ADAS(先進運転支援システム)関連は堅調だった。為替も上期全体では円安の恩恵を受けた。
大手企業を中心にM&A(買収・合併)による売上高、営業利益の押し上げもみられた。半面、FA機器などの部品需要は、在庫過多による調整局面が継続し、「産機関連の市況は当初の想定以上に低調だった」とする企業が多い。
そのため、上期は部品メーカーの注力市場による差が大きく出た形だ。高性能スマホやデータセンター向けを得意とする企業は計画以上の業績となったところも多い。半面、産機市場向けを主力とする企業は厳しい決算が目立った。
下期の見通しは慎重な見方がやや強まっている。背景には世界的な新車需要の減速や、中国や欧州経済の低迷、北米経済の先行き不透明感などがある。ICT関連需要は下期も堅調との見方が強いが、スマホ向けは今期、ユーザーの部品取り込み時期が例年より前倒しで推移していたことから、反動への警戒感もみられる。
自動車関連は、EVの成長鈍化やインフレによる新車需要減速に加えて、最近は中華系EVメーカーによるグローバル市場への販売攻勢で世界的に価格競争が激化。1次サプライヤーである欧州系ティア1による部品メーカーへのコストダウン要請が強まる懸念もある。産機関連も下期は調整が続くとみられている。
通期の連結業績予想は、40社のうち24社が増収を計画し、うち5社(ミネベアミツミ、ヒロセ電機、フォスター電機、山一電機、松尾電機)は2桁の伸長を見込む。営業利益は、22社が増益または黒字転換を計画。一方、減益または赤字予定も18社に達する。
24年度上期業績の40社合計値は、大手企業の決算が総じて堅調だったことから、売上高は前年同期比5.1%増の約7.8兆円、営業利益は同13.9%増の約7300億円となった。一方、経常利益は同8.6%減の約7000億円と前年同期を下回った。
40社合計の通期予想は、売上高が前期比2.5%増の約15.4兆円、営業利益が同15.2%増の約1.3兆円、経常利益が同2.3%増の約1.3兆円となっている。