2024.12.04 九州だけじゃない! 関東でも半導体人材育成支援の動き

北関東版半導体人材育成等連絡会議の様子

 半導体産業の強化に向けて行政機関が主導するさまざまな取り組みが進んでおり、人材育成事業もその一環だ。TSMC(台湾積体電路製造)の工場が建設された九州での産学官連携での人材育成は取り上げられることも多いが、関東でも動きが始まっている。

 経済産業省の部局である関東経済産業局は昨年6月、「関東半導体人材育成等連絡会議」を開設した。甲信越を含む広域関東圏を対象に、調査事業や連絡会議の場としての役割を担う。今年度は北関東の技術者育成をテーマとし、より焦点を絞って話し合っている。同会議には北関東に事業所を持つ企業や自治体、大学が参加している。

 今年度、北関東に絞ったのは地域特有の事情による。広域関東圏は、首都圏には本社機能や研究拠点が多いが、首都圏の周辺には幅広く工場や部材関連企業がある。そのため、必要とされる人材が地域によって異なる。そこで、地域全体で共通する長期的なテーマを設定するのではなく、テーマやメンバーを絞った取り組みを短い期間で行うことにした。

 そうした中、茨城、栃木、群馬の北関東3県は首都圏への人材流出という共通の課題を抱えており、目線を合わせやすく、今年度の軸となった。担当者によると、「北関東だからこそ生まれるシナジーを期待した」という。

2024年卒の北関東の大学生の4割弱が首都圏に就職し、人材流出が課題となっている(出所:RECRUIT 就職みらい研究所「大学生の地域間移動に関するレポート」)

 連絡会議を通じて北関東ワーキンググループも設置されている。現在、宇都宮大学、茨城大学、群馬大学の国立3大学を中心にインターンシップのあっせんや企業説明会の共同開催などを計画している段階だ。

 関東の動きは地方に半導体人材育成に関する地域コンソーシアムを設置するという国の方針を受けてのもの。九州では「九州半導体人材育成等コンソーシアム」が一昨年に設置され、産学官連携の場となっている。全体の方針として地方における現地の技術者育成を目指す。経済産業省が最先端半導体技術センター(LSTC)への関与を通じて進める設計や新産業創出、国内外での連携を担う高度人材の育成とは緩やかなすみ分けがある。