2024.12.05 中国、論文発表数でトップ独走 半導体国際学会、内容も高レベル
半導体の国際学会で中国の存在感が急速に高まっている。多くの企業が注目する「国際固体素子回路会議(ISSCC)2025」では、大学を中心に論文発表数でトップを独走する状況だ。
ISSCC2025は米国電気電子学会(IEEE)の半導体に関する分科会として来年2月16~20日に米カリフォルニアで開催される。
ISSCCのファーイースト・リージョナル・セクレタリーを務める信州大学の宮地幸祐教授は、東京都内で開催した記者説明会で中国の論文発表数を「圧倒的な数字」と説明した。
今回、全体の論文投稿数は914件と、過去最多となった。そこから採択した論文と基調講演などを合わせた250件の発表を第1著者の第1所属から国・地域別に見ると、3年連続で東アジアが全体の3分の2を占め拡大傾向にある。米国は2割、欧州は1割で微減。中国の採択論文数は香港・マカオを合わせて92件と突出し、前年から23件増えた。これに米国55件、韓国44件、台湾20件、日本8件と続く。
宮地氏は「レベルも非常に高い」と、中国の論文の投稿数・採択数だけでなく内容も評価する。数多くの中国の大学が2件以上の論文採択を受けている状況について、「国内で非常に高いレベルの技術者が再生産されていることを意味する」と分析。まだ中国企業からの論文発表は少ないものの、「5年、10年たって今輩出されている大学の人材が産業界に定着してきた場合にどうなるかは考えていかなくてはならない」との見解を示した。(6日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)