2024.12.06 エヌビディアの最新GPU「B200」を見た!

AIサミットで初展示されたHGX B200。前方に置かれているのがB200

B200の側面写真。赤枠部分がGPUで上部は放熱のためのヒートシンクB200の側面写真。赤枠部分がGPUで上部は放熱のためのヒートシンク

基調講演後のファンCEO基調講演後のファンCEO

AIサミットの会場は多くの来場客でにぎわったAIサミットの会場は多くの来場客でにぎわった

 2024年の半導体業界における大きな話題は「AI(人工知能)」の進展だろう。ビジネスの現場でも生成AIの活用が進み、高速演算処理を行う半導体の技術開発が急速に進んでいる。その中でも、話題の中心はエヌビディアのGPU。決算発表前には業績に関する憶測が飛び交い、発表後には取引先やサプライヤーも含め株価に影響を与えるなど、影響力の大きさを感じさせた。AI開発において不可欠なGPUの需要は急拡大するとともに、AIのさらなる進化には新たなGPUが求められる。

今年発表された「ブラックウェル」は大きな話題を呼んだ

 エヌビディアは今年3月、次世代GPUアーキテクチャ「ブラックウェル」を発表した。前世代のアーキテクチャ「ホッパー」と比べ、5倍のAI処理性能を実現。学習で4倍、推論実行で30倍になるなど、性能を大きく向上させた。ブラックウェルの発表以降、ジェンスン・ファンCEOはさまざまなイベントでブラックウェルを紹介。今夏には一部の顧客やパートナーに向けてサンプルを出荷するなど、着実に量産に向けた準備を進めてきた。

来年出荷開始予定の最新GPUを初展示

 11月12~13日の2日間、東京都内で開催された同社のイベント「AI Summit Japan2024」の会場で、ブラックウェルアーキテクチャを採用したGPU「B200」が展示された。B200を搭載したAIプラットフォーム「HGX B200」も合わせて展示。来場者が手に取って触れられる形で展示したのは、今回が初めてのこと。展示されたB200の前には多くの来場者が集まり、大きな話題となった。

 HGX B200にはB200が8基搭載されている。8基のB200は、第5世代の通信プロトコル「NVLink」で相互接続され、GPU間でデータを高速伝送する。AIの力を最大限に引き出せるかは、サーバークラスター内でのシームレスな高速通信にかかっている。第5世代のNVLinkにより、HGX B200は前世代と比較して学習性能は3倍、推論性能は15倍となる高い性能を実現した。B200はすでに受注を開始しており、来年初旬には出荷が始まる見通しだ。

最新ソリューションを用いてソフトバンクもスパコン開発

 HGX B200に搭載されるB200の大きな特徴が、冷却システム。GPUが実装されたボードの上には大きなヒートシンクが取り付けられ、GPUを冷却する。

 HGX B200はGPUのみを搭載しており、別途CPUが必要。GPUとCPUを搭載したAIプラットフォームとして「DGX B200」も開発している。今回のイベントでは、ファンCEOとソフトバンクの孫正義代表取締役会長兼社長執行役員との対談が行われた。その壇上で、ソフトバンクはDGX B200を用いてスーパーコンピュータ「DGX Super POD」を構築することを発表。自社の生成AI開発やAI関連事業での活用するほか、国内の研究機関や大学、起業への提供も計画している。エヌビディアとソフトバンクの協業により、さらなる技術革新が加速する。